Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

内服のタイミングと注射のタイミングの疑問解消 

Q. 外来通院中、朝グラルギンを注射している方。

        入院中は、いつグラルギン注射するか?

 

①グラルギンは24時間作用続く。→(外来での投与なら)1日のいつでもOK

  しかし、入院中は量の調整をすることが多いので、夕か眠前が良いだろう。

 

②ワルファリンはどうか

(ワルファリンも、外来での投与なら、朝内服でも、夕内服でも大差なし。

          むしろ飲み忘れないタイミングが望ましい)

     ただし、入院中は朝のINRで調整することが多い

             →夕内服の方がいい。

 

③スタチンはどうか 

 夜にLDLが作られる 

            →夕、眠前内服の方が、少し良いらしい。

            →しかし飲み忘れない方が優先。

           本人に聞いて、朝に血圧の薬と一緒に内服する方が忘れないならその方がいい。

 

④鉄剤はどうか

  夜の方が吸収されやすい

  しかし飲み忘れない方が優先

 

 

 

【アウトプット】

外来通院中は、グラルギン、ワーファリンは朝でも夕でも大差ないが、入院したら、投与量調整するために夕または眠前投与にした方がいい。

 

外来管理において、スタチンや鉄剤は夜内服の方が作用機序的に若干良いが、患者と相談し、朝内服の方が飲み忘れないならば、そちらを優先する。

 

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低ナトリウム血症

Hyovolemia?Euvolemia?hypervolemia? を厳密に評価するのは困難

多分、hyperか、eu だろうなあ。もしくは、eu、かhypoだろうなあ

くらいに分ける

 

① hypovolemic hypo Naは細胞外液投与で改善する

なぜなら、補液して、適切なADH刺激をとってあげればよい。

Ex. この1週間飲まず、食わず。Na120。

この人に生食を投与したらNaが改善してきた➡hypovolemicの要素だったんだな。

 

注意:Na120 →125→125→125 となったら、120→125まではhypovolemic hypoNaの要素、それ以降は別の要素がある。

 

②FENa   尿浸透圧データオーダー

 

infusion Na(=投与している点滴のNa濃度)<尿Na+K(尿中のNa濃度+K濃度)
       ➡低Na悪化する

 点滴(生食)Na154   <  尿Na140+K50 

→尿の浸透圧の方が高い→低ナトリウムは悪化する

 

④3%NaCLを使う際の投与速度

 →Med Calc なりHOKUTOなり使う→計算結果より少なめに投与

 

⑤Naの補正速度

0.5mEq/L/hr  以下かつ 12mEq/L/24 hr  → 最近はMKSAP 6-8mEq/L/24hr以下



昔は、橋中心性脱髄症候群CPM(central pontine myelinolysis) という名称だった∵橋中心が主に侵されるから。

でも、橋以外も脱髄するよね、ということがわかったので

ODS(osmotic demyelination syndrome:浸透圧性脱髄症候群)と名称が変更された

 

⑥補正速度が速すぎたらどうする?

  →Relowering

  1)5%Glu 100ml/h など  

→それでも速かったら

  2)ピトレシン drip    デスモプレッシン点鼻

 

⑦Na checkの間隔は?  2時間程度 (Na120 前半くらいの場合)

 

 

 

【アウトプット】

 

✓低ナトリウム血症をみたら、まず偽性低ナトリウム血症を除外する。


アルゴリズムをそらで書けるようになるのが近道!!!


   真の低ナトリウム血症だとしたら、体液量は少ないか、多いかを判断。


   体液量少ない低ナトリウム血症なら、

   Na、水が腎外から出ている状態(嘔吐、下痢、熱傷など)なのか、

   Na、水が腎から出ている状態なのか(Lasix使用、AKI回復期など)


   体液量が多い低ナトリウム血症

    →体全体がパンパンだけど血管内hypoで腎臓に有効な血流がなく、

     ADH刺激がでて、水を貯留してしまう状態

     (心不全ネフローゼ症候群、LCなど)


   とはいえ、体液量が多い、少ないの判断は難しいよね。

     Hypo~eu, eu~hyperくらいの分類で。


   euvolemiaな低ナトリウム血症

    (甲状腺機能低下症、副腎不全、SIADH、多飲など)


   体液量の少ない低ナトリウム血症

   (血管内脱水に対しての、妥当なADL刺激が出ている状態)

     は細胞外液投与で改善する(=補液でADH分泌が少なくなる)

 

✓今後、低ナトリウム血症が改善するか、悪化するかを予想
   Infusion Na<尿Na+K →低ナトリウム血症は悪化する


✓Naの補正速度 
    0.5mEq/L/hr 以下かつ6-8mEq/L/24hr以下
 早すぎは、ODS(osmotic demyelination sydrome:浸透圧性脱髄症候群)のリスク


✓補正速度早すぎる時の対応は
   ①5%Gで逆補正
   ②ピトレシンdrip デスモプレシンン点鼻


✓Naチェック間隔は? 120前半以下なら2時間おき

 

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血小板減少 

例:70F 既往 DM, HTN, OA,
今回UTI/sepsisで入院 NAD0.06γ使用してる方


Plt  20万→13万→11万

4 つのtionで考える

 

Dilution:希釈 来院時外液2L投与 
     外傷、massive GIB   
     MTP(大量輸血プロトコル) RCCFFP:PC≒1:1:1  
→血小板を含まないもの(RCCや外液など)を多量に入れると希釈で血小板が減少する


Destruction:破壊
・DIC   sepsisでDIC傾向なのかも:PT INR↑ D-Dimer ↑ APTT↑
      凝固も狂ってきていたらDICの可能性が上がる
     ➡治療は原疾患の治療。この人の場合はUTIの治療するのがDICの一番の治療


・HUS/TTP  
        HUS:Hemolytic(破砕赤血球がないか)
        Uremic syndrome(尿毒症になってないか。BUN、Creが上がってないか) 
            + Plt↓  
        TTP=HUS+発熱+意識レベル低下

 

Production(合成されていない系): 
        chemo中 MDS がんの骨メタ。。。


Distribution:分布
     肝硬変→脾腫 脾臓に血小板がトラップされる
     ICUの血小板低下はDIC HIT ゾシン リネゾリド
     ヘパリン投与されている人ならHITかもと思って不必要なヘパリンは止める

 

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白血球分画をみることの大切さ

Blast  芽球
Promyelo 前骨髄球 
Myelo 骨髄球
Metamyelo 後骨髄球
好中球(正常値 40~75%)
Stab 桿状球
Seg 分葉球

 

【症例】
WBC1400
Neu 2.5% ➡ 1400×2.5/100 =好中球 35 ?!!!
  ➡急激なneutoropenia (好中球減少症)
  ➡neutropenic fever のマネージメントに切り替えてマネージメントを行う
  ➡CFPM +VCM  G-CSF


WBC分画

   neutrophilの数を把握
   left side shift がないか確認 

      Stab>10%

 幼若な好中球が増えている。

 菌と戦うために成熟した好中球だけじゃなく幼若な好中球も末梢に送り出されている 

 状態で、より重症な感染症  ➡左方偏位


 前骨髄球、骨髄球、後骨髄球までは 重症な感染症ででてくる幼若な好中球。

  Blast芽球がいたらleukemia決定
    感染症症例では、週2-3回分画みることをおすすめします。

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なんか不明熱だな。。。みたいな時に
Eosinophil増多によるallergic reaction が drug feverなど
好酸球が著増してないよな。というのも横目で見ておいたほうがいい

 

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IC(病状説明)の時間設定のコツ 気をつけていること

Ex1:70F  PNA 2L O2
      HTN DLP mild dementia
      要支援1
      今回入院は初めて


入院の時のICで 次はいつ頃電話します。ということを伝えておく。
(木)入院
ご家族には

「(金)12時までに電話しますね。もし12時までに電話がなければ、

必ずかけてください。病院の代表に電話して、北野を呼び出してください」と伝える。
こうすることで、いつ来るかわからない病院からの電話を待ち続けるということがなくなる。


また、「かかってこなければかけてください」と伝えることで、万が一(急変対応などで)こちらからの電話が抜けた時に、ご家族が一日中電話を待ってすごすということが避けられます。
そして、その時に次の電話をいつ頃するか伝える。
 → 1週間後 or  何か変化があった時に電話しますね。


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特に、今回が患者さんにとって初回の入院など、入院にまだ慣れておられないご家族は
、「病院からいつ電話がかかってくるか」と一日中緊張しておられることも多いです。
年配の方で、スマホ(携帯電話)を持ち歩く習慣がないような方にとっては尚更です。
また、入院翌日には「救急車で運ばれたような重症なのだから絶対に病院から連絡があるはず」と思っておられる方もあります。
医療者側と、患者さん・ご家族の認識の齟齬で、不必要な行き違いにならないためにも、
上記を実行することをお勧めします。

 

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ICU入院中の目薬どうする?

点眼薬  必ずDI checkする
   サンコバ 白内障
   カリーユニ 白内障
   ヒアレイン ドライアイ
   ザジテン 抗アレルギー
   トラニラスト 抗アレルギー
   ラタノプロスト 緑内障
   チモレート 緑内障
   ミケラン 緑内障 


   これから挿管しますという患者さん。目薬は中止でよくない?
     ➡緑内障の薬は中止してはいけません

      中止で、視力障害が残るリスクがある。


点眼薬はカテゴリーを把握し、緑内障の点眼は必ず継続する
既往歴に緑内障があるかどうかは確認する。

 

Ex. 50歳男性、緑内障あり。仕事の休みが取れず、眼科の受診がとぎれ

  点眼なくなり1週間。
  視力低下、眼痛で救急外来受診
 → 緑内障は薬が途切れると視力障害を起こす

 

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AKA alcoholic ketoacidosis アルコール性ケトアシドーシス

アルコール多飲 ➡ケトーシス  AG開大性代謝性アシドーシス
   Tx:glucoseを点滴すれば治るが。。。

       ビタミンB1を先行投与しないと、よりB1欠乏が進行し、

                 Wernicke脳症の悪化をきたしうる。


   ✓アルコール離脱しないかを考える
  最後にのんだのはいつか? アルコール血中濃度も測定しておくと良い。

       ロラゼパムなどの離脱予防
       DT Delirium tremens:アルコール離脱せん妄 はいつおきる?
       最終飲酒から 24~72時間くらい だが、7日くらい続く人もいる
       Mortality高い 
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危険な(死にうる)離脱は、
➡アルコールとベンゾジアゼピン 
➡いずれも抑制系
➡抑制系の離脱はけいれん等を起こして死にうる
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他の原因のアシドーシスではないかを考える。
K:ketoacidosis /DKAじゃないよな。血糖もみとこうかな。

      尿ケトンも(感度は低いけど)チェックしておこう

U:uremia  /尿毒症じゃないよな。尿量、BUN/Creみとこうか。

S:sepsis /熱出てない? WBCあがってない? 血圧下がってきてないかな?

S:salicilate =サリチル酸=アスピリン/何か変なもの飲んでないかな? 

                   尿トライエージ

M:metanol & other Toxic alcohol /
A:Alcohol
L:Lactate ➡sepsisと被るが、sepsisでなくても腸が壊死するとか、四肢の虚血などでも
lactic asidosisになる / ケトーシスであれば乳酸はバカ上がりしない

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✓pH7.20  やばい or 大丈夫?
   PaCO2 35
   PaO2 100
        HCO3- 20
     ➡マイルドな呼吸性アルカローシス+マイルドな代謝性アシドーシス

 

✓pH7.20  やばい or 大丈夫?
      PaCO2 18
   PaO2 100
         HCO3- 8
 ➡かなり重篤代謝性アシドーシスをかなりすさまじく呼吸性に代償している
 ➡特に高齢の方なら、この頻呼吸・大呼吸は長くは続けられない可能性。

      PaCO2が30になり、40になり。pH7.1になり、心停止に至るかも。
      挿管しようと、鎮静してもPaCO2↑、pH↓で心停止に至るかも

    ➡pHだけでなく、その内訳を見ましょう

 

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