Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

心臓聴診_超基本_All Pigs Eat Too Much_In the Clinicシリーズおまけ

 

All pigs eat too muchで私は覚えました(北野)
この最強点と、放散部位収縮期vs拡張期吸気で増大するかで 
シンプルに評価できます。

 

 

f:id:ykitano5min:20190104170804p:plain

聴診部位_最強点_All Pigs Eat Too Much

A弁領域: 第2肋間 胸骨右縁 (RUSB)
P弁領域: 第2肋間 胸骨左縁 (LUSB)
Erb point: 第3肋間 胸骨左縁 ) 
T弁領域: 第4肋間 胸骨左縁 (LLSB)
M弁領域: 第5肋間 鎖骨中線 (Apex)

 

RUSB: Right upper sternal boarder

LUSB:  Left upper sternal boarder 

LLSB:  Left lower sternal boarder

Apex:  心尖部 or PMI (point of maximal impulse 心尖拍動)  

 

 心臓の聴診は 奥深いですが、細かいことにこだわるよりも、上記で評価する・カルテ記載することから始めることを強く薦めます。これはすぐに誰でもできるようになります。

 

 A弁領域で最強点の収縮期雑音 ⇒ ASだろう 

 A弁領域で最強点の拡張期雑音 ⇒ ARだろう

 M弁領域で最強点の収縮期雑音 ⇒ MRだろう

 

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上記を基本として頭に入れた上で下記を追加してゆければと思います。

● 前回AS(Aortic stenosis)の稿でかきましたが、ASの心不全は、Afterload dependent かつpreload dependentです。言い換えると、SBPが160mmHgあっても、ニトログリセリンIV投与で突然ショック(LOS low output syndrome) になる可能性があります。

なので、心エコー歴のない、初発CS-1心不全症例を対応するときに、ASの収縮期雑音がないかだけは聞いておく必要があります(←シアトルの循環器内科指導医、当院の桝井良裕Dr.吉田徹Dr.皆様からの耳学問)。

● 上記基本が頭に入ったら、A弁領域を最強点とする収縮期雑音
→ASのほかにHCM(Hypertrophic (obstructive) cardiomyopathy)も引き出しに追加。

● AR(Aortic regurgitation)雑音があるかも。カラードプラーでAR目立つ。このARは血行動態にどれくらい関与しているんだろう?
→(AR-PHT測定にモタモタする私のような非循環器内科医の強い味方)ARの重症度は拡張期血圧を確認。カラードプラーが派手でも、例えば血圧120/80ならARの重症度としてはそれほどではないはず(言い換えると、重症ARなら拡張期血圧がもっと低いはず=脈圧が開大するはず)(←当院センター長 桝井良裕Dr.、副センター長 吉田徹Dr.、私が心エコー教わった技師さん皆様からの耳学問) 

● MS (mitral stenosis)rumble って低くてそもそも救急外来でゼーゼー言っている患者さんで聞けないよね? 
→ MS はrumbleにこだわるよりもむしろ、エコーでM弁の動き、左房拡大を評価

 

私は聴診に特にこだわりがあったり、極めているわけでは「全く」ありません。総合内科医、カバー範囲広すぎて、心臓の聴診だけを極めるのは難しいと思います(極めてられる先生、お許しください。尊敬してます)

ですが、聴診も強力なツールのひとつです。疾患ごとにどのツールが役に立つかを組み合わせて使っていければと思います。

 

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心臓の聴診のすばらしいサイトがあります。

Thinklabs 心音ライブラリー

これはGeneralist 仲間のDr.Joel Brancが教えてくれました。

私も頻用しています。

「聴診→ 
自信を持ってカルテ記載(言語化する。これ重要)→ 
心エコーで答え合わせ→
違ってて愕然(笑)」

を繰り返してともに成長しましょう。

 

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心雑音強さ記載 Murmur Grades 備忘録 

    Thrill
Grade I/VI faintest murmur that can be heard  (with difficulty; murmur usually softer than S1 and S2) No
Grade II/VI faint murmur but has the same intensity as S1 and S2 No
Grade III/VI louder than S1 and S2 No
Grade IV/VI loud Yes
Grade V/VI very loud and can be heard with slightest touch of the stethoscope Yes
Grade VI/VI loudest and can be heard without a stethoscope Yes

 

AS(大動脈弁狭窄症)ゲシュタルト: In the Clinicシリーズ

ASの原因の主なもの2つ (文献1)

  • 老人性石灰化大動脈弁狭窄症 (最もよくみられるタイプ)
  •  先天的二尖弁 (50歳代など若年のASとして認める)

 

ASの3つの主要症状 (文献1、2)

  • A: angina狭心痛                         無治療の予後5年
  • Ssyncope, presyncope  失神、前失神               3年
  • D: dyspnea呼吸困難                                              2年と言われる 

 

ASを疑うゲシュタルト: (文献2)

  • 身体所見: 小遅脈胸骨右縁上部(RUSB)を最強点とする、
    収縮後期駆出性雑音頸部に放散
  • 症状:上記
  • 検査所見: 心電図で左室肥大 

 

診断:

  • 心エコー(経胸壁)
  • 循環器内科or 心臓血管外科へコンサルト:

                 継時的フォローおよび弁置換のタイミングを含め、
     無症状でも紹介を.

 

In the ClinicシリーズAS (Aortic stenosis, 大動脈弁狭窄症)の型です。

 

私自身は、ASの症状・予後予測の、ASD(AS deathと覚える)は頻用しています。

 

AS心不全で入院されたときの急性期マネジメント・血行動態把握のキーワードとして

ASはpreload dependent かつ、afterload dependent 

も必須の「型」です。

 

また、次回心雑音の「型」書きますが、ASの診断は心雑音聴取が必要不可欠です。

私が教わった心エコーの技師さんからの格言:

AS(疑い)だけは、必ず聴診してからエコーをあてること。なぜならば、重症ASでは、狭窄が強すぎるとAVmaxのジェットがピンポイントしかなく、拾いにくいことがあるから。言い換えると、収縮期雑音の全くないASはないと思って可」 

 

もちろん、ASは重症になりすぎるとむしろ収縮期雑音が減弱することも事実ですが、総合内科医としては重箱の隅ならぬよう、上記の「型」から入っていければと思います。

 

文献

1. In the Clinic, Aortic Stenosis. Ann Intern Med. 2017;166(1): ITC1-ITC16.

2. Pocket Medicine 6th edition, p.1-20.

3. In the Clinic, Aortic Stenosis. 日本語版, Annals of Internal Medicineにupload!!

 

 

 

 

 

静脈うっ帯性下腿潰瘍 Venous leg ulcers_In the Clinicシリーズ

静脈うっ帯性下腿潰瘍 (venous leg ulcers VLU) 

静脈うっ帯性皮膚炎 (venous stasis dermatitis) 

 

●静脈うっ帯性下腿潰瘍・静脈うっ帯性皮膚炎という病態の認識を!!(注1、2
下肢の慢性静脈不全(静脈弁の機能不全、静脈の逆流)
⇒ 下腿の浮腫・痛み・色素沈着、下腿潰瘍、瓶を上下逆さにしたような変形

●日本では認知度が低いため、「蜂窩織炎」として治療されてしまっていることも多い。
リスク因子:加齢、肥満、DVT/PEの既往など

●静脈うっ帯性下腿潰瘍の診断:
上記の症状・身体所見
(VLUはほとんどの症例で病歴と臨床所見に基づいて診断してよい.(文献1))

●除外すべきもの(文献1):
末梢動脈疾患(∴ABI施行)
糖尿病性ニューロパチー(∴糖尿病評価)
長期間の圧迫(∴病歴聴取)
蜂窩織炎(∴病歴・身体所見)

●治療(文献1):
下肢挙上(3~4回/日 ×30分間、下肢を心臓より高く上げる⇒ 浮腫軽減、循環改善)
圧迫療法:弾性包帯・圧迫療法により、浮腫軽減するのみでなく、潰瘍の治癒率が改善!!(注2)

 

注1:瓶を上下逆さにした形の変形(「逆シャンパンボトル」などと形容されます)、色素沈着、浮腫、下腿潰瘍 

Copyrightから写真をここに貼り付けられないですが、In the Clinicのなかに、典型例の写真が多数載っています。ぜひ見てみてください。百聞は一見にしかず。

Webで venous leg ulcers, venous stasis dermatitisで検索すると 写真多数見つけることができます。

写真1234567

 

注2:私自身、Venous leg ulcersという概念を、米国老年科ローテーションまで知りませんでした。

米国老年科外来 (Geriatric clinic) で、圧迫療法(弾性包帯を巻いて帰る)を行って1週間後、2週間後とフォローすると、浮腫も疼痛も潰瘍も劇的に改善するのを何人も目の当たりにしました。

日本でも「両下腿難治性蜂窩織炎」として対応されていた入院症例の相談をうけ、弾性包帯で圧迫を開始すると、発赤・疼痛・浮腫・炎症マーカー・熱型いずれも軽快した症例もみました。VLUであると診断できれば治療が行えるという意味でぜひ認識できるようになってください(もちろん、上記鑑別診断を必ず除外してください)。今後日本も高齢化・肥満の増加でVLUが増加すると予測されます。

 

文献

: In the Clinic, Venous Leg Ulcers. Ann Intern Med. 2016;165(3): ITC17-ITC32.

:In the Clinic

Venous Leg Ulcers (Japanese Version) | Annals of Internal Medicine | American College of Physicians

Annals of Internal MedicineのWPにJapanese version としてUploadされています!!

 

 

 

 

 

 

急性期脳梗塞の型_超基本_JC20選動画あり

急性期脳梗塞(疑い)の型_超基本

  •  ABC
  •  NIHSS
  •  血糖チェック
  •  頭部単純CT(目標20分以内)
 平行して
  1. 神経内科 or  脳外科コール
  2.  ルート確保、採血(優先は血算、凝固).動脈穿刺は基本的に禁
  3.  胸部レントゲン、心電図
  4.  体重測定(∵tPA投与量決定)
  • tPA<4.5時間
  •  Door to needle time 目標60分以内
  •  tPA投与するなら BP goal <185/110
  • 6時間以内かつICA or MCA-M1閉塞→もともと血管内治療の適応
  • ガイドライン改定点:16~24時間以内でも、下記は血管内治療適応となりうる (DAWN, DIFFUSEの2本のtrialをうけて)
  1.  DWI-clinical mismatchかつ
  2.  ICA or MCA-M1閉塞かつ
  3.  もともとのADLが良い(mRS 0 or 1)

 

(●時間は、すべて最終未発症時間から●時間の意)

 

上記は、下記の動画と一緒に見てもらえるとより理解できます。

 

厳選論文20選!!動画一部公開!!
ACP日本支部総会で毎年やっている平岡栄治先生総監督(+八重樫牧人先生、北野夕佳)の超人気セッション。
そのデモ動画が完成しました。

1)当院の堤健先生の論文紹介
2)北野のまとめ
3)当院の気楽な紹介 の構成です。

ぜひ見てみてください。
ACP日本支部総会に参加すれば、この1)2)が、各分野聞けます。すごいでしょ? 

私もこのセッションのおかげで、化石化せずに各分野なんとかしがみついています。
ぜひ2019年ACP日本支部年次総会(2019.6.8-9 京都)でお会いしましょう。
素晴らしい動画作成いただいたAntaaの藤井達也先生に感謝。

 

【動画URL】

神経
https://youtu.be/E_mtUDPQYvE

非代償性肝硬変_肝性脳症のマネジメント_In the Clinicシリーズ

肝性脳症の誘因・治療・予防の型 

 

肝性脳症の誘因:(文献1 注1

l  脱水

l  消化管出血 (特に、胃食道静脈瘤)

l  タンパク質摂取過多

l  感染 (特にSBP

l  K血症

l  便秘

 

肝性脳症の急性期マネジメント 文献1、2

l  蛋白制限食(注2

l  ラクツロース経口or経管(経口も経管も不可なら注腸も)(注3
  ハミガキ粉の硬さの排便が2~4/ 目標

l  非吸収性抗菌薬  

l  分枝鎖アミノ酸製剤の点滴 
(エビデンスは弱いが、日本では投与しても妥当:文献3)

 

注1:肝性脳症症例を診た時に「アミノレバン点滴しています」だけではなく、これらの誘因がないかの評価を速やかに行うことが重要。具体的には、問診・診察、特に腹水の有無、直腸診も。穿刺しうる腹水があれば、SBPを念頭に腹水穿刺を検討。アミノレバン点滴のみで入院させておいたら、敗血症性ショックでショックバイタルになった、などということのないように!

SBPSpontaneous bacterial peritonitis.

 

注2 ただし、肝硬変症例に漫然と蛋白制限をすることはむしろ望ましくない。急性期を過ぎたら、通常通りのタンパク質摂取を。必要なら少量頻回摂取をすすめる(文献4)

 

注3
注1と同じく、

「肝性脳症で入院後Day3です。アミノレバン点滴で治療しています。」

「排便コントロールは?」

「えっと、、、、(看護記録を見返す)入院後まだ排便ありません」

「?!?!」ということのないように!!
米国には分枝鎖アミノ酸製剤点滴は存在しませんでした。

アミノレバン(or テルフィス)点滴という選択肢がないことでむしろ、
「肝性脳症
→①誘因の検索 ②ラクツロース ± 非吸収抗菌薬内服(経管)投与でアンモニアを下げる」という概念がすっきりしていたのは良かった気がします。

処方例:

ラクツロース経口(or経鼻胃管)20ml and/or 注腸(ラクツロース150ml+微温湯200ml)

非吸収抗菌薬 リファキシミン1200㎎ 分3

 

文献

 内科ポケットレファランス 日本語版 3-22

 総合内科病棟マニュアル 256-258

 内科レジデントマニュアル 第7
4 UptoDate Hepatic encephalopathy in adults: Treatment last updated: Aug 17, 2017

 

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2018.12.21 追記:

リファキシミンが採用されていない場合に、代替薬はありますかの質問に対して:

肝性脳症の内服抗菌薬:

保険適応がある日本に存在する薬剤はリファキシミン(リフキシマ®)のみ注4

 

注4

あまり「重箱の隅」にならぬように気遣いつつ私の思考過程・聞き込み過程を下記にシェアしますね。

 

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北野→大崎往夫先生

北野→当院薬剤師さんへのメール:

 

お知恵を借りたいたことがあります。

 

肝性脳症の予防・治療の内服抗菌薬、

リフアキシミン以外で、日本で使えるもの何がありますか?

 

私の頭からすぐ出るのはカナマイシン3グラム分3ですが、カナマイシンは少量吸収されうるので聴覚障害/腎機能障害のリスクと肝性脳症の治療・予防のベネフィットのバランスをとって判断する、と理解しています。

 

アメリカで使っていたネオマイシン(=非吸収とわかっている 注5)は、日本にはないですよね。

 

ポリミキシンBを使う施設もあるようですが私自身は使ったことがありません。

 

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大崎往夫先生からの耳学問

(元:大阪赤十字病院消化器内科統括部長、現:明和病院特任院長.
大阪赤十字病院研修医の時からの私の生涯のメンター。
今回In the Clinic HCVでも専門監修していただきました)

 

肝性脳症も含めて肝硬変の治療薬は日本と海外では大きく異なります.
腹水コントロールのための利尿剤も欧米のガイドラインではフロセミド160mgまで投与となっています.
そんなことをすると日本人ではすぐに腎不全となってしまいます.
日本ではアルダクトン25-50mgとの併用で40mgまでが推奨されており早期にトルバプタンを使うようになっています.
また肝性脳症に関してもご指摘の通りです.
リファキシミンはイタリアで開発されたもので何十年?も前から使われていたものです.
日本では治験をしていなかったため,代替として保険適応ではありませんでしたが,他になかったためカナマイシンが使われており当局も黙認していました.
これも難吸収性でほぼ同等の効果を得られるものと思われますが,リファキシミン(リフキシマ®)が保険収載されたため現在はリフキシマ®となりこれしか使えるものはありません.

ネオマイシンは実験用に供給されているだけです.
ポリミキシンBもカナマイシンと同様です.

 

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当院(聖マリアンナ横浜市西部病院)の超ありがたい病棟薬剤師 
中薗健一さん、勝綾香さんが調べてくれた情報 下記。

 

カナマイシン内服は、保険適応としては感染性腸炎などのみであり、肝性脳症への保険適応はなし。

ただし、リファキシミンが肝性脳症の治療薬として2016年に承認されるまでは、肝性脳症予防/治療に対する非吸収性内服抗菌薬で保険適応の薬剤がそもそも日本に存在しなかったため、カナマイシン内服が適応外使用として長年使用されてきた。

 

カナマイシン内服の、吸収率、聴覚障害(特に透析・CKD症例)に関しては以下。

文献5より抜粋)

カナマイシン内服の透析患者への投与方法:内服は減量の必要はない(経口ではほとんど吸収されない)が、腸管の炎症が強いと吸収される。その場合、透析患者では排泄が遅延しているため長期投与する場合には蓄積して聴覚障害を引き起こす可能性があるので要注意。

吸収:健常者の小腸粘膜から約1%と無視できる量しか吸収されないが、小腸に炎症があり潰瘍や粘膜が浸食された場合には顕著に吸収される。

(抜粋終了)

 

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また、このブログを載せさせていただいているJHN (Japan Hospitalist Network)が刊行しているHospitalistにも、常に疑問に答えてくれる記載が載っています(文献6

 

総合内科医、カバー範囲が広すぎるからこそ「信頼できる専門家からの耳学問(+もと記載の確認)」を「確実なシンプルな型」として生涯学習してゆければと思います。

私も勉強になりました。

 

文献

5.  透析患者への投薬ガイドブック 慢性腎臓病(CKD)の薬物治療改定3版 じほう pp.796-797

6. 宮垣亜紀 肝硬変の合併症②:肝性脳症と栄養マネジメント.Hospitalist 2018 vol.6 No.3 pp705-715. 

 

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注5 さらに追記:

今回調べなおしたところ、私がレジデンシーをしていたとき(2006-9)の1st choiceであったNeomycin内服は、米国でももはやfirst lineでなくなっているようですね。リファキシミンが米国でも1st choice( 文献7

 

文献

7. UptoDate. Hepatic encephalopathy in adults: Treatment, this topic last updated: Aug 17, 2017.

 

 

 

HCV感染症症例の外来マネジメントの型:In the Clinicシリーズ

HCV感染症例外来マネジメントの総合内科医として認識しておくべき型

1.禁酒!!! (文献1)

2.ワクチンの検討 (注1)

HCV感染しているが、HBV陰性⇒HBVワクチン (文献1、4)

肝硬変症例⇒肺炎球菌ワクチン(文献1、4)

肝硬変症例⇒年1回のインフルエンザワクチンの適応 (文献1、4)

3.肝硬変症例では、上部消化管内視鏡による食道静脈瘤スクリーニング (文献1)

4.肝硬変症例は3~6カ月ごとの画像評価(HCCスクリーニング)必要 (文献1、5、 注3)

5.SVR達することにより、肝臓の線維化は改善するが、すべての症例でそうなるわけではない。 同じく、肝発癌のリスクも低下するがゼロにはならない(注2)ことを知っておき、患者に もHCCスクリーニング継続の重要性を説明!! (文献2、3)

 

SVR: Sustained virological response 持続したウイルス学的持続陰性化

 

注1:米国では、慢性肝疾患⇒HAVワクチンの適応(文献1)となっているが、日本ではHAVワクチンは接種推奨とはなっていない。

 

注2:SVR 後も肝発癌リスクは完全には消失せず、SVR 後の 5 年・10 年の発癌率は、それぞれ 2.3~8.8%、3.1~11.1%と報告されている (文献3)

 

注3:肝硬変の画像評価のインターバルはは発癌のリスクによって考慮される。超ハイリスク(ウイルス性肝硬変,高齢,男性,AFP基準値以上)では3ヶ月に一度,ハイリスクでは6ヶ月に一度,が推奨されている(文献5)

 

文献

1.In the Clinic, Hepatitis C Virus. Ann Intern Med. 2016;165(5):ITC33-ITC48.

2.ITC HCV 日本語版:ACP本部WPに掲載中!!!               http://annals.org/aim/fullarticle/2679145/hepatitis-c-virus-japanese-version

3. C 型肝炎治療ガイドライン 第6.1版 https://www.jsh.or.jp/files/uploads/HCV_GL_ver6.1_Mar26__2.pdf

4・http://www.kameda.com/pr/health/index.html 予防医学の薦め 亀田総合病院(八重樫先生)Web

5.肝臓学会肝癌診療ガイドライン2017,サーベイランス・診断アルゴリズム

 

 

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 In the Clinic・5分間ティーチングWS シリーズの続きです。

私がいたシアトルの病院(Virginia Mason Medical Center)では、GIM clinic (総合内科外来)がありました。たとえば高血圧、糖尿病、HCV感染の患者さんは消化器内科にも6ヶ月に1回受診しますがそれ以外はGIM clinicで外来でフォローされていました。Box内1,2および高血圧、糖尿病はGIM clinicの管轄、Box内3,4,5のみが消化器内科外来の管轄という感じでした。

 

医療制度は地域によって異なり、何が一番いいかは私にはわかりません。(米国の上記の二重外来フォローはredundantな気もしていました)

 

ただ、上記Box内1~5のマネジメントがすっきりと頭に入っていることと(=レジデントに言語化してトレーニングされること)、その施設の医者皆に共有されていることはトレーニングとしては素晴らしいなと思いました。良いところは、まねしましょう。

 

総合内科医として知っておくべき、HCVのスクリーニング・治療の型:In the Clinic シリーズ

総合内科医として知っておくべき、HCVのスクリーニング・治療の型:

IFN中心の旧来の治療では、SVR(注1)達成率は半分以下だったが、

新規抗ウイルス薬の開発により、SVR達成率は95%以上に(文献1、注3)

(しかも、内服薬×8~12週間のみで!!(文献1、注3))

∴ HCV症例を認識することが重要.

肝炎検査を受けたことのない患者さんを診たら、HCV検査を勧めること

リスクファクター

血液への曝露歴(注射針使いまわし注2、輸血歴など)、男性同性愛者など 

日本では、リスクファクターに関わらず、全国民が一度は肝炎ウイルス検査を受けることを勧めている(文献2、3)

HCV抗体スクリーニング⇒抗HCV抗体陽性なら、HCV-RNA測定(PCR消化器内科コンサルト (文献1)

 

注1 SVR: Sustained virological response 持続したウイルス学的持続陰性化 

注2 注射針使いまわしは、米国で問題になっている注射薬物乱用(ヘロイン)のみではなく、日本で以前に行われていた予防注射針の使いまわしも含まれる.ゆえに日本ではリスクファクターで選別するのではなく、全国民が一度は肝炎ウイルス検査を受けることを勧めている。

注3:In the ClinicのArticleの出版時点では、SVR達成率90%以上、治療期間8~24週と記載されていたが、新たなレジメも追加され、SVR達成率は95%以上、治療期間レジメは8~12週間となっている (専門監修大崎往夫先生よりコメント2018年5月現在)

 

 

文献

1.In the Clinic Hepatitis C Virus. Ann Intern Med. 2016;165(5):ITC33-ITC48.

2.ITC HCV 日本語版:Annals of Internal MedicineWPに日本語版掲載中!!!               http://annals.org/aim/fullarticle/2679145/hepatitis-c-virus-japanese-version

3.厚生労働省Webpage、肝炎ウイルス検査:

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/hepatitis_kensa.html

 

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In the Clinic翻訳プロジェクト→ ACP日本支部年次総会で行った5分間ティーチングWSの時に作成した型シリーズです。

HCVに対する抗ウイルス薬を、私自身が処方する機会は全くありませんが、「この人はHCVを検査したことがあるかな」と気付いてあげられることは、誰かの人生を変えてあげうることなので、知っていなければならない知識だと思います。

 

妊娠出産したことのある女性、胃カメラ・大腸ファイバーなど検査前は、感染症スクリーニングを受ける機会になりますが、それらがないままの人もいると思います。

今回の覚えないといけないことは下記のみです。

HCV抗体検査を受けたことのない人には検査を。