Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

5分間ティーチングとは_本ブログの使い方

本ブログの使い方

 

このブログは、

患者利益を最終目標として、日々の臨床業務を抜けなく安全に回せるようになるために必要な、覚えるべき知識

 を整理して発信することを目的としています。

そのため、細かいエビデンスにこだわった内容ではなく、妥当性のあるエッセンスに絞っています。

引用するのは原著論文ではなく、敢えてUptodate®や代表的な書籍、医学雑誌、ガイドラインにしています。なぜならば、それが私が実際に(大阪日赤時代もシアトルのレジデント時代も)臨床の隙間時間で吸収してきた方法であり、今後もそうして生涯学習してゆく道だと思うからです。

細部において、議論の分かれる内容があるかと思います。しかし我々は、そういった非常に細部の議論を延々と繰り返すことよりも、「患者利益に直結する重要な知識を、幅広く抜けなく覚えていく」ことの重要性を感じています。

 

当ブログでは、サンプル症例を提示した上で、実際の臨床をイメージしてもらい、

最初に、質問に対する回答の形式で、「最重要事項」=「型」=「5分間ティーチング」をシンプルにまとめています。

そらで思いだせる必要のある最重要事項のみを、箱の中に書いてあります 

その後に記載してあることは、その内容を理解するための解説事項ですので、すべて覚える必要はありません。「●●を除外しなければいけなかったはず」のように「思いつきさえすれば」患者利益につながる事柄がたくさんあります。そのエッセンス=5分間ティーチングを覚えることに集中してください。

このブログの使い方 !!! 必読 !!!   

 

読者、特に研修医・若手の先生方へ、

 

以下を読み、ベッドサイド5分間ティーチングの目的をかならず理解したうえで本ブログを活用してください。

 

5分間ティーチングとは、「臨床上必須の事項を」「シンプルな」「型」として「自ら言語化=アウトプットできる形で」蓄積して臨床に生かしてゆくことが目標です。

 

ゆえに、書かれている内容は「simplify as much as possible (最大限エッセンスのみに)」してあります。

 

言い換えると「例外」は常に存在します。

(しかし例外をすべて列挙すると、何も知識として蓄積しない悪循環となります。5分間ティーチングの意図は、エッセンスのみに絞ることで確実に蓄積し、それを土台として、例外も含めて臨床判断ができるようになってゆく、という点にあります)

 

私(北野)は、あなたが診ている患者さんを診ているわけではありません。

ここに書かれていることでも、かならず指導医に再確認してください。ここに書かれていることと、あなたの指導医の判断が異なる場合には、実際に患者さんを診ている人の判断が圧倒的に優先されます。臨床判断は、極めて複雑、多因子です。本ブログの情報に基づいて行われたすべての事柄に関して、本ブログは一切責任を負いません。

 

学生の間や研修医になってからも「セミナー」「ワークショップ」が盛んに開催される時代になりました。研修医が、セミナーで聞いてきたことの方を、一緒に見ている指導医の判断よりも優先させる場面や、指導医に相談しない場面に遭遇し、愕然とすることがあります。このブログがそうなってほしくない、と強く願います。

 

その患者さんへの最善の医療判断は、その患者さんのベッドサイドにいる医師しか、できません。本ブログが、間違った使われ方をしないように、医療に対する「畏怖」を常に忘れずに医療が行われることを、強く願っています。

 

正しく使われて、本ブログが、私のお会いしたことのない患者さんの役に立つことを、心から願っています。

5分間ティーチング ブログ始めます。

 

 ベッドサイド5分間ティーチングのブログを始めることにしました。

 

 聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院 救命救急センターの北野夕佳です。

 

 総合診療~総合内科~救急など、いわゆるGeneralistのカバーすべき領域は膨大です。

 

その患者さんの、生活背景もふくめて、全身を診る医者になりたいと思ってGeneralistの領域に飛び込んできてくれたにもかかわらず、「一生できるようになった気がしない不全感」を感じている若手の先生は全国にたくさんおられるのではないかと思っています。

 

大阪赤十字病院時代の私(卒後2~4年目)もそうでした。日々病棟を走り回り、救急当直をこなし、隙間時間にワシントンマニュアルと聖路加内科レジデントマニュアルを読んでは書きこみ、「〇〇の最新の知見」的な単行本類を読み、レジデント向け月刊誌を読み、内科医学会雑誌を読み、必要そうな部分をノートに貼りつけて自分のマニュアルも作り、それでも成長した気がしない自分に自己嫌悪を感じて、常に焦っていました。

 

そのころの自分に向かって、このブログを書きたいと思います。

 

すべてを覚えようと思っても、人間の能力として限界があります。だからといって、全身を診る医者をあきらめるのはもったいないと思います。Generalistは、カバーすべき領域が膨大だからこそ、「シンプルに」「型として」「臨床に必須の項目を抽出して」「言語化できるレベルにして蓄積してゆく」必要性を日々感じています。

 

それを「ベッドサイド5分間ティーチング」と名付けました。

 

雑誌Hospitalist(MEDSi出版)に連載させていただき、うれしいフィードバックを数多くいただきました。学会・セミナーなどで5分間ティーチングのワークショップは20回を超え、応募開始後即定員になるなど、うれしい反響がありました。当院の昼カンファ(5分間ティーチングの少し詳しい版)のサマリーを流すメールのCCは100人近くになりました。

 

ブログにすることにはなぜか、抵抗がありました。私は何を怖がっているんだろうかと自問してみました。最も大きなものは、私の目の届かないところで間違った使われ方をして患者不利益になるのでは、なのだと思います。それは次の項、

「このブログの使い方 !!! 必読 !!! 」

を必ず読んでください。

私自身、5分間ティーチングとして頭を整理して生涯学習することの有用性を日々実感しています。正しく使ってもらうように明確に記載したうえで、私が有用だと思っているこの習慣を、シェアしてゆきたいと思います。

 

直接会ったことのないどこかの若手の先生と、その人が診る患者さんのお役に立てれば、この上ないよろこびです。

 

目標、週に2つくらい、当院の若手たちと一緒に、「型」=「普遍的に使える一般論」=「5分間ティーチング」を共有してゆきたいと思います。

 

建設的なご意見を、歓迎します。