症例:70代男性。敗血症性ショックの管理のために、右内頸静脈から中心静脈カテーテルを挿入されていた。ショック離脱し、カテコラミンを離脱できたため、本日カテーテルを抜去することとした。抜去のときに注意すべきことは?
- 空気塞栓を予防するために、必ず仰臥位(できれば下肢を挙上 or Trendelenburg体位)で抜去
- できれば呼気の途中 or 吸気後に息を止めて(valsalva)抜去
- 抜去後すぐに穿刺部に密閉性の高いドレッシング材を貼って、その上からガーゼ圧迫(5分以上)する
- 呼吸努力が強い、血管内脱水、太いカテーテルはリスク
座位で中心静脈カテーテルを抜去したため、血管内に空気が流入し、空気塞栓を発症した事例が報告されている*1。
死亡事例の報告もあり、空気塞栓は、カテーテル挿入時だけでなく、抜去時にも起こることを知っておき、出来る限りの予防手段を講じるべきである。
中心静脈は胸腔内にあり、陰圧になって空気を引き込むことがあるため、このような注意が必要である。
空気塞栓の臨床像は?
肺塞栓、脳梗塞、脊髄梗塞などの報告がある。
カテーテル抜去時にこれらの症状が出た場合には、空気塞栓を強く疑う
起こってしまったら治療はどうすればよいか。
左側臥位かつTrendelenburg位を取り、SpO2 100%酸素投与を開始する
この体位にすることで、右室心尖部に空気をとどめておくことが出来ると言われているが、厳密には検証されていない。
100%酸素を投与にすることで、空気の吸収速度が早まる可能性がある。
とはいえ、「空気塞栓を起こさないように最善の策を講じる=絶対に仰臥位!!」が大前提です。
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