脳幹症状の4D(5D、6D)は?
Dysphagia 嚥下障害
Dysarthria 構音障害
Diplopia 複視
Dysmetria 測定異常 =Finger to nose, Heel to shinなどの小脳症状
Dizziness =Vertigoも含めることも。
Drop attack = syncopeも含めることも。
前回書いた片頭痛の中に「片頭痛で脳幹症状を伴うかどうか」という項目がありました。日本では片麻痺や脳幹症状を伴う片頭痛は遭遇頻度はかなり低いと思われます(少なくとも私は日本で診たことがありません。シアトルで片麻痺を伴う片頭痛症例は数例対応しました)。
片頭痛の脳幹症状はMKSAP17(Neurology Question#17)によると下記です。
vertigo, ataxia, dysarthria, diplopia, tinnitus, hyperacusis, or alteration in consciousness
「脳幹症状の有無」は、片頭痛症例のみならず、意識消失発作や、意識レベル低下症例、脳幹梗塞疑いのアセスメントに、頻用します。
それぞれの疾患ごとに別々の覚え方をするのではなく、上記4D(5D、6D)で「型」にしてしまうことで汎用性が増します(=記憶するものが少なくすみ、他の思考に頭が使えるようになります)。
私は4D,5D,6Dどれにするかのこだわりは全くありませんが、「型」にしてアセスメントしてゆくことは必須と思います。脳幹のDは頻用します。
ぜひ覚えて使ってください。
下記Wallenberg症候群は覚えなくていいですが、わたしが100回覚えても100回忘れるので(かつ脳幹梗塞の中で遭遇頻度が高いので※1)備忘録として書いておきます。
Wallenberg syndrome (Lateral medullary syndrome/infarction 延髄外側症候群/梗塞) (MKSAP17 Neurology Q#71)
- Dysarthria: 嚥下障害
- Dysphagia: 構音障害
- Vertigo: 真性めまい
- Ataxia: 失調(同側)
- Loss of pain and temperature sensation ipsilaterally in the face: 同側顔面の温痛覚↓
- Loss of pain and temperature sensation contralaterall in body: 対側頚部以下、体幹、上下肢の温痛覚↓ (これだけ対側)
- Horner syndrome Horner症候群(同側)
※1:私の「遭遇頻度多い」の経験則・感覚があっているか調べたところ、
Lateral medullary infarction — Lateral medullary infarction (Wallenberg syndrome) is the most common and important syndrome related to intracranial vertebral artery occlusion (UptoDate Posterior circulation cerebrovascular syndromes, This topic last updated: Jun 02, 2017.より)と記載されていました。