HCV感染症例外来マネジメントの総合内科医として認識しておくべき型
1.禁酒!!! (文献1)
2.ワクチンの検討 (注1)HCV感染しているが、HBV陰性⇒HBVワクチン (文献1、4)
肝硬変症例⇒肺炎球菌ワクチン(文献1、4)
肝硬変症例⇒年1回のインフルエンザワクチンの適応 (文献1、4)
3.肝硬変症例では、上部消化管内視鏡による食道静脈瘤スクリーニング (文献1)
4.肝硬変症例は3~6カ月ごとの画像評価(HCCスクリーニング)必要 (文献1、5、 注3)
5.SVR※に達することにより、肝臓の線維化は改善するが、すべての症例でそうなるわけではない。 同じく、肝発癌のリスクも低下するがゼロにはならない(注2)ことを知っておき、患者に もHCCスクリーニング継続の重要性を説明!! (文献2、3)
※SVR: Sustained virological response 持続したウイルス学的持続陰性化
注1:米国では、慢性肝疾患⇒HAVワクチンの適応(文献1)となっているが、日本ではHAVワクチンは接種推奨とはなっていない。
注2:SVR 後も肝発癌リスクは完全には消失せず、SVR 後の 5 年・10 年の発癌率は、それぞれ 2.3~8.8%、3.1~11.1%と報告されている (文献3)
注3:肝硬変の画像評価のインターバルはは発癌のリスクによって考慮される。超ハイリスク(ウイルス性肝硬変,高齢,男性,AFP基準値以上)では3ヶ月に一度,ハイリスクでは6ヶ月に一度,が推奨されている(文献5)
文献
1.In the Clinic, Hepatitis C Virus. Ann Intern Med. 2016;165(5):ITC33-ITC48.
2.ITC HCV 日本語版:ACP本部WPに掲載中!!! http://annals.org/aim/fullarticle/2679145/hepatitis-c-virus-japanese-version
3. C 型肝炎治療ガイドライン 第6.1版 https://www.jsh.or.jp/files/uploads/HCV_GL_ver6.1_Mar26__2.pdf
4・http://www.kameda.com/pr/health/index.html 予防医学の薦め 亀田総合病院(八重樫先生)Web
5.肝臓学会肝癌診療ガイドライン2017,サーベイランス・診断アルゴリズム
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In the Clinic・5分間ティーチングWS シリーズの続きです。
私がいたシアトルの病院(Virginia Mason Medical Center)では、GIM clinic (総合内科外来)がありました。たとえば高血圧、糖尿病、HCV感染の患者さんは消化器内科にも6ヶ月に1回受診しますがそれ以外はGIM clinicで外来でフォローされていました。Box内1,2および高血圧、糖尿病はGIM clinicの管轄、Box内3,4,5のみが消化器内科外来の管轄という感じでした。
医療制度は地域によって異なり、何が一番いいかは私にはわかりません。(米国の上記の二重外来フォローはredundantな気もしていました)
ただ、上記Box内1~5のマネジメントがすっきりと頭に入っていることと(=レジデントに言語化してトレーニングされること)、その施設の医者皆に共有されていることはトレーニングとしては素晴らしいなと思いました。良いところは、まねしましょう。