ASの原因の主なもの2つ (文献1)
- 老人性石灰化大動脈弁狭窄症 (最もよくみられるタイプ)
- 先天的二尖弁 (50歳代など若年のASとして認める)
ASの3つの主要症状 (文献1、2)
- A: angina狭心痛 無治療の予後5年
- S:syncope, presyncope 失神、前失神 3年
- D: dyspnea呼吸困難 2年と言われる
ASを疑うゲシュタルト: (文献2)
- 身体所見: 小遅脈、胸骨右縁上部(RUSB)を最強点とする、
収縮後期駆出性雑音、頸部に放散- 症状:上記
- 検査所見: 心電図で左室肥大
診断:
- 心エコー(経胸壁)
- 循環器内科or 心臓血管外科へコンサルト:
継時的フォローおよび弁置換のタイミングを含め、
無症状でも紹介を.
In the ClinicシリーズAS (Aortic stenosis, 大動脈弁狭窄症)の型です。
私自身は、ASの症状・予後予測の、ASD(AS deathと覚える)は頻用しています。
AS心不全で入院されたときの急性期マネジメント・血行動態把握のキーワードとして
ASはpreload dependent かつ、afterload dependent
も必須の「型」です。
また、次回心雑音の「型」書きますが、ASの診断は心雑音聴取が必要不可欠です。
私が教わった心エコーの技師さんからの格言:
「AS(疑い)だけは、必ず聴診してからエコーをあてること。なぜならば、重症ASでは、狭窄が強すぎるとAVmaxのジェットがピンポイントしかなく、拾いにくいことがあるから。言い換えると、収縮期雑音の全くないASはないと思って可」
もちろん、ASは重症になりすぎるとむしろ収縮期雑音が減弱することも事実ですが、総合内科医としては重箱の隅ならぬよう、上記の「型」から入っていければと思います。
文献
1. In the Clinic, Aortic Stenosis. Ann Intern Med. 2017;166(1): ITC1-ITC16.
2. Pocket Medicine 6th edition, p.1-20.
3. In the Clinic, Aortic Stenosis. 日本語版, Annals of Internal Medicineにupload!!