誤嚥性肺炎の型
Aspiration pneumonia:シアトルの時の私の型:
- differentiate: aspiration pneumonia or aspiration pneumonitis (chemical pneumonitis)
- SpCx+GS:GS: polymicrobial pattern, common pathogens are oral anaerobes.
- R>L due to tracheal anatomy, but could occur superior portion of lower lobe if spine (=dependent area)
- ST evaluation
- Dental check
- RT (PT) for pulmonary drainage
- ABx choice:ABPC/SBT, CTRX+MTN *1
- Follow trend of: fever(Tmax), SpO2, RR, lung sounds, SOB/cough, shaking/chill
- w/f empyema or lung abscess
静岡医療センター(Junji町先生率いるHMEPプログラム)に、定期的にティーチングに行くことになりました。
「完璧」を求めるのじゃなく、今日したティーチングを(=私の頭の中を)そのまま公開しようと思う。帰国して10年たとうとしている。ガンガンjot down(殴り書き)しないと、忘れていきそうで怖くなってきた。
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80歳女性、アルツハイマー型認知症、誤嚥性肺炎で入院2日目(架空症例)
上記がそのまま理解できれば、下記は読まなくて大丈夫。
逆に、下記を読んだ後、覚えるべきことは上記だけ。
Aspiration pneumonia:シアトルの時の私の型:
- differentiate: aspiration pneumonia or aspiration pneumonitis (chemical pneumonitis)
誤嚥性肺炎なのか、化学性肺臓炎なのかを考える。
胃内容物(酸性)を吸い込んだ化学的炎症のみが、化学性肺臓炎。
感染を来したのが誤嚥性肺炎。
化学性肺臓炎だけでも24-48時間は熱発する。
重症でなければ化学性肺臓炎と判断(comit)して、抗菌薬なしで経過を見ることも妥当だが、empiricalに抗菌薬を開始して酸素化改善後に速やかにオフにすることも妥当。 - SpCx+GS:GS: polymicrobial pattern, common pathogens are oral anaerobes.
典型的には口腔内常在菌(嫌気性菌)が起因菌で、グラム染色では複数菌多数。 - R>L due to tracheal anatomy, but could occur superior portion of lower lobe if spine (=dependent area)
左右の主気管支の分岐の角度から、右にたれ込むことが多い。
が、仰臥位なら下葉の上部にもたれ込む。
いわゆる dependent area (重力加重域)という概念を。 - ST evaluation
ST(嚥下リハ)評価。今後食事どうするか検討。 - Dental check
齲歯、膿瘍などがないか口腔内チェック。
歯科受診が理想的ではありますが、入院中に困難な施設も多いとおもわれます。うち(聖マリ西部)も、VMMCも、主治医が普通に観察する範囲にとどめてました。もちろん、積極的に治療すべき歯があれば歯科受診を。※ - RT (PT) for pulmonary drainage
RT(呼吸療法 or PT理学療法)依頼して、排痰リハ。ADLあげる。寝かせきりにしない。
肺炎の治療は、抗菌薬よりも排痰が重要。
「抗菌薬はスパイスです。肺炎を治すのは本人の免疫力と排痰です(うちの純国産感染症内科医若竹Dr.の格言)」 - ABx choice:ABPC/SBT, CTRX+MTN *2
口腔内嫌気性菌カバーのある抗菌薬選択を。
入院/点滴抗菌薬なら、アンピシリン・スルバクタム、セフトリアキソン+メトロニダゾールは妥当。日本ならセフメタゾールも妥当。
ただし、その患者さんの全体像を見て考えること。
パーキンソン病終末状態や、認知症で寝たきり全介助の方で、誤嚥すること自体が止められない方に、抗菌薬をどんどんエスカレートしても、多剤耐性菌を増やすだけです。 - Follow trend of: fever(Tmax), SpO2, RR, lung sounds, SOB/cough, shaking/chill
肺炎が改善してきているかどうか見るのは、胸部レントゲンではなく、臨床症状!!
熱型(全体のトレンドかつ、その日の最も高い体温Tmaxでフォロー)、SpO2, RR, 補助呼吸筋の使用(=苦しそうか)、呼吸音で「改善している」か「不変and/or 悪化している」かを判断。
Septicになっているかという点で、「血圧↓ 脈拍↑ 意識レベル低下、悪寒戦慄」がないかの把握は必須。 - w/f empyema or lung abscess
watch for(注意)膿胸や、肺膿瘍になってきていないか。
上記8.で「悪化している」と判断すれば、「なんとなくレントゲン」「なんとなくCT」ではなくて、「誤嚥性肺炎として治療していますが、熱型、呼吸状態が明らかに悪化しています・改善傾向を認めません。膿胸・肺膿瘍の除外目的でCTを撮影します」という論理構築を。