消化管出血マネジメント GI bleeder: シアトルの時の施設共通の型
- Two large bore PIV(太い=18G以上の静脈路を2本以上確保)))
- Fluid bolus if signs/symptoms of hypovolemia(hypovoemia疑うなら、補液ボーラス)
- Serial Hct q2-6hr(Hctを経時的フォロー)
- Type and cross, order PRBC(血液型・クロスとRCCのオーダー)
- Admit to telemonitor (モニター付けて入院)
- Vital q1-3hr(バイタルは頻回にフォロー)
- Give PPI to all GIB until proven not to be from UGIB(上部消化管出血の否定までは、全例PPIを投与)
- Correct coagulopathy(凝固異常があれば補正する)
- Call GI(消化器内科call→GF/Angio/手術の選択を依頼)
- NPO(絶飲食。経口投薬は基本的にホールド(ただし必須薬の場合、例外はあり))
- 直腸診
理解のために、以下書きますが、
覚えないといけないことは赤字/青字のみ。
★下血だから下部消化管出血だよね?
→UGIBでも出血量が多いと、消化されずにそのまま赤色になることに注意。
★鑑別は?
下部消化管出血
上部消化管出血
- 胃十・二指腸潰瘍
- 胃・食道静脈瘤
- Deulafoy潰瘍
- マロリーワイス
- 胃・食道癌
その他
- 異物(魚骨、薬莢、義歯)
- AAAなどによる大血管への穿通(aorto-enteric fistula)
- まさかの大量鼻出血の嚥下
- まさかの実は喀血
→Shock index = HR/SBP
Shock index>1.0つまり HR>BPは、出血量>1L以上と言われている。「バイタルの逆転」とも言い、一般的に出血性以外のショックであっても、(sBP >90で保たれていても)血圧低下の前兆として認知すべき状態。つまり、一般的に血圧が低下する(ショックになる)前に、脈拍が増加することが多い。
→出血性ショックの前兆として、⑴起立性低血圧 ⑵頻脈があることを知っておく
→頻脈になれない患者でないかを必ず確認。βb(βブロッカー)・CCB(Ca拮抗薬)・ジキタリス内服中、PM(ペースメーカー)挿入中、房室ブロックなど徐脈性疾患など
問診:消化性潰瘍の既往、直近のGF/CF歴、検診受診歴、放射線治療歴、腹部手術歴(大血管含む)、嘔吐・吐血・心窩部痛の先行の有無、市販薬含めた鎮痛薬内服歴、体重減少・食思不振、今までの吐血・下血歴、飲酒量
身体所見:眼瞼結膜の貧血、手掌蒼白、心窩部圧痛、肝硬変の身体所見
→急性のGIBで24時間以内はHb低下しないことあり。
Hbが低下するのは、出血後、3rd spaceから水分が血管内に移動して(=希釈されて)から。
オレンジジュースをコップから3分の1こぼしても、オレンジジュースの濃さは変わらない。元の分量まで水を追加してはじめて薄まる(=Hbが下がる)と考えると理解しやすい。
★NGチューブで洗う?
(いれば)消化器内科医と相談。局在診断には有用。鮮血→活動性出血、黒色→最近のGIBだが、GIB除外とはならないこと、食道静脈瘤の可能性があるなら要注意であることは知っておく。
NGチューブでの胃液の色の型 (信号と同じと覚えると覚えやすい 参考文献1)
黒(Coffee ground)→最近の出血
赤(fresh red blood) →アクティブな出血
黄(gastric content)→ 胃液だが胆汁は混ざっていない=幽門以遠からの液体は混ざっていない=十二指腸からの出血は否定できない。
緑(bilious content)→ 胆汁の逆流あり=幽門以遠からの液体が混ざっている=十二指腸も含め上部消化管の現時点の出血なし。
注意:「現時点での出血」の評価であることを忘れずに(例えば、胃潰瘍からの活動性出血があったが、すでに自然止血しているという状況も考えられる)
★RCC 2単位輸血と大量補液でHb 7.0→7.9に上昇。Hb上がってるし順調だよね?思考過程は?
RCC2単位輸血=Hb 1.5↑が目安。予想していた、Hb上昇より少ないことから考えることは、①出血が持続している ②大量補液による希釈 を考える。
→ワンポイントではなく、時間を味方につける。バイタルとHctを経時的フォロー
★直腸診でのグアヤック(便潜血)の提出は必要?
原則は、便の色の肉眼的判断が優先。(しかし、フェロミア便だったり、色が紛らわしいときに判断の助けにはなる。Up to dateでは施行を推奨なので、行っても間違いではない。 )
<参考文献>
- Up to date;Approach to acute upper gastrointestinal bleeding in adults
- Up to date:Approach to acute lower gastrointestinal bleeding in adults
- Pocket medicine 3-3
- Pocket emergency medicine:3-9
- 朝倉内科学、診療エッセンシャルズ
- 臨床指導はこうやる はる書房 6章 明日からできるベッドサイド5分間ティーチング 北野夕佳 p.91-115
耳で聞いたら、記憶に残りますからね。うちのティーチング動画上げておきました。