Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

髄膜炎疑いの時の初療_LP?BCx?ABx?

髄膜炎疑いの時の初療_LP?BCx?ABx? 

 

髄膜炎疑い(特に細菌性髄膜炎疑い)症例の時

 

一般論・前提:

  • 抗菌薬の遅れは神経予後の悪化につながりうるので、一刻も早く抗菌薬を投与したい
  • 腰椎穿刺をして培養検体を採取したい
  • 腰椎穿刺を安全に施行できるのかは、頭部CTが必要か??
  • 頭部CT→腰椎穿刺→抗菌薬では 抗菌薬投与が遅れてしまう、のジレンマ 

 

UptoDateに、アルゴリズムがありますから、必ず一度めをとおして理解してください。

Management algorithm for adults with suspected bacterial meningitis

 

一度理解したことがあって、頭に入っていて念のためダブルチェックする、のは有用ですが、髄膜炎疑い症例が来てからUptoDateで適応を調べるのは、臨床として遅すぎます。

 

1)LPして問題なさそうな症例

  • 意識レベルクリア
  • 神経学的局所症状なし
  • 痙攣なし
  • 免疫不全なし
  • 以前の中枢神経感染症の既往なし 
  • 乳頭浮腫なし

(もちろん、腰椎穿刺が安全にできるかも並行して評価:出血傾向、安静保てるかなど)

 

上記すべてを満たしていれば

血液培養、LP→ 抗菌薬開始(DEXA+ABX※)

 

2)LP施行することに懸念のある症例

上記のいずれかが陽性

 

血液培養→抗菌薬(DEXA+ABx※)→頭部CT→LPの禁忌がなければLP

 

論理がわかっていれば、理解・定着しやすいと思います。

 

※細菌性髄膜炎(疑い)の時は、

デキサメサゾンを抗菌薬に先行or同時投与

 

髄液検体は 常温保存(∵髄膜炎菌は冷蔵で死滅しやすい)

 

髄液検体のPCRは、抗菌薬投与後でも陽性になる可能性が上がる。FilmArrayなど。

 

細菌性髄膜炎血培陽性率は50~90%(UptoDate reviewed on 2022/12)

 

 

 

 

 

 

 

 

聞くと理解しやすいと思います。動画も上げてあります↓ 

 

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