Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

感染性心内膜炎(infective endocarditis, IE)のope適応

大まかに概念を理解する

 

         ①弁がこわれてきている

          進行性の弁破壊  

                      AR++ → CHF 

                      MR++ → CHF

 

        ②大きいvegetation

        可動性 10mm以上の疣贅

        可動性じゃない 30mm以上の疣贅

 

          「こんな大きなものが飛んで行ったら困るなあ」

          「こんな大きな菌のかたまりを抗菌薬で溶かしている間に塞栓に

              なってしまうだろうな」 

             という概念

 

         ③進行する/継続する

            Embolic symptoms  塞栓症状 

      脾梗塞になり、脳梗塞になり、腎臓の梗塞になり

           今でも 小さいのがぱらぱら全身に飛び続けているだろうな

                  =進行するembolicの症状があればope適応

 

         ④弁輪部膿瘍abscess

 

          ⑤人工弁

 

   これらの「概念=全体像 big picture」を頭に入れて、

   その上でガイドラインを毎回確認しつつ、専門家とdiscussionする

 

 

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【out put】大まかな概念を理解する

 

   ①進行性の弁破壊

 

   ②大きなvegetation

        「こんな大きい物が飛んで行ったら困るなあ」

 

   ③進行する/継続する塞栓症状

     脾梗塞になり、脳梗塞になり、腎梗塞になり。。。

     小さいのがぱらぱら全身に飛び続けているだろうな

 

   ④弁輪部abscess

 

   ⑤人工弁

 

 

 

 

蕁麻疹

CC)じんましん


 一次急患センターなど、この人達を全員

 アナフィラキシーかも 薬疹かも TENかも。。。で入院させていたら、回らない。
  →「やばいもの」を除外する


  Ddxアナフィラキシー →ABCD+Skinで覚える


   Airway:stridor のどが苦しい 腫れぼったい つまりそう 
   Breathing:wheeze喘鳴 末梢気道が締まる SpO2低下 呼吸数上昇
   Circulation:血圧低下→ドーンと下がるから立ってたら失神しうる 心拍数上昇 
   Diarrea:嘔気 嘔吐 下痢
     +

   Skin:じんましん 発赤


これらのABCDのどれかがあって、肌の症状があったらアナフィラキシーを疑う


抗生物質を最近近くの先生にもらって、そうこうしてたら赤いぶつぶつができてきたんですよね。。。」 ➡薬疹かなあ。。。


薬疹の型:粘膜病変があれば、重症な薬疹・重症な皮疹である可能性が高い
  口腔粘膜:自覚症状を聞く 痛いとこないですか?
  眼粘膜:痛くないですか? 眼がしょぼしょぼしないですか?
  陰部粘膜:自覚症状重視。女性、おしっこするとき痛くないですか?
***************************************


発熱+皮疹でやばいもの
ddx
 ✓sepsis

  →敗血症性塞栓。菌のちっちゃいかたまりが肺につまる、脳につまる 

   皮膚にもつまる。→紫斑 電撃性紫斑病など

   

   cf:Libedo reticularis (網状皮斑)循環が悪いせいで出現する


 ✓TEN/SJS 皮膚の病気から発熱する
  Toxic epidermal necrolysis 中毒性表皮壊死症 重症で皮膚が壊死する

 

 ✓IE infective endocardis  … 感染性心内膜炎 
  →心臓の弁に細菌の塊ができ、そこから全身に流れていく。指の先につまる 

   肺につまる。脳につまる いろんな臓器につまる 皮膚にもつまる→皮疹


 ✓TSS ex. タンポン・鼻出血のパッキング、皮膚の感染症など:
  ブドウ球菌増殖 トキシンが流れていって皮膚が真っ赤になる。ショックになる

 

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【out put】
やばいものを除外する


アナフィラキシー ➡ ABCD+Skin
  Airway:stridorがないか。喉が苦しい 腫れぼったい つまりそう
  Breathing:wheeze 末梢気道が閉まる SpO2 低下 呼吸数上昇
  Circulation:血圧低下➡立っていたら失神する➡ねかせる 心拍数上昇
  Diarrea:嘔気 嘔吐 下痢
   +
  Skin:蕁麻疹 発赤


薬疹:粘膜病変があれば重症な薬疹、重症な皮疹である可能性が高い
    口腔粘膜 眼粘膜 陰部粘膜 ➡自覚症状重視する


sepsis 敗血症性塞栓 紫斑 電撃性紫斑病
       菌のちっちゃい塊が肺、脳、皮膚につまる


TEN/SJS   皮膚が壊死する


IE   心臓の弁に菌塊ができ、そこから全身に流れていく。指の先、肺、脳、

       などいろいろな臓器につまる。皮膚につまって皮疹になる 


TSS  ブドウ球菌が増殖。トキシンが流れて行って皮膚が赤くなる。ショックになる

 

 

 

Stable angina  (狭心症 OMI) など冠疾患のある人の 二次予防

1次予防:まだその疾患になっていない時の予防

2次予防:すでにその疾患になった後にもう一回ならないように

     Secondary prevention

        ✓ACS/Coronary

   ✓Stroke

 

入院中の患者さんで、冠疾患ある人だから、これが入ってるはず、ということを理解していた方がいい。

ABCDEで。

 

AAspirinなどの抗血小板薬

      (→  既往に狭心症があるのに、アスピリン、プラビックスなどなにも

             入ってなかったら変だなあと思う)

     ACE-I/ARB

     antianginalニトログリセリン 舌下・スプレー)

    ➡予後改善効果はそれほどでもない

 

BBPcontrol

      β blocker

 

C:Cholesterol(Statin  LDL≦70)

      Cigarette Cessation

 

D:DM control

      Diet 減塩 コレステロールが上がりすぎない食事

 

E:Exercise

      Education

**************************************

既往歴の分からない人が、来たとして

  アジルバ

  アスピリン

  クレストール

  アーチスト

これらが処方されていたら、何か冠疾患ありそうだなあ、とめぼしをたてられる。

 

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【out put】

1次予防:まだその疾患になっていない時の予防

2次予防:すでにその疾患になった後にもう一回ならないように

 

A:Aspirin(抗血小板薬)

      ACE-I/ARB

      antianginalニトログリセリン 舌下・スプレー)

    ➡予後改善効果はそれほどでもない

 

B:BPcontrol

      β blocker

 

C:Cholesterol(Statin  LDL≦70)

      Cigarette Sessation

 

D:DM control

      Diet  減塩 コレステロールが上がりすぎない食事

 

E:Exercise

      Education

 

 ・ 既往に狭心症があるのに、アスピリン、プラビックスなど入ってなかったら

   変だなあと思う

 

・既往歴の分からない人が、来たとして、

    アジルバ、アスピリン、クレストール、アーチスト

 などが処方されていたら、何か冠疾患ありそうだなあ、とめぼしをたてられる

 

 

 

 

胸水穿刺適応 検査 ドレナージ適応

 

 

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【out put】

診断のための穿刺

 漏出性(薄いから染み出す系)か滲出性(炎症が起こって染み出しちゃう系)

 

漏出性胸水の原因 ―CHF LC ネフローゼ

滲出性胸水の原因 ―胸膜炎(細菌がつく系、感染じゃない炎症(malignancy, 自己免疫疾患など)

 

治療のための穿刺

 例えばガンという診断はついていて、大量胸水で、SpO2が保てないなど

 

実際安全に穿刺できるか

Pocket medicine によると、「側臥位で1cm以上」だが、結構少ない。

実際には、「安全に穿刺できる量であれば」が妥当。

 

検査項目

 胸水LDH pH  TP グラム染色(GS)+培養(Cx):一般細菌と抗酸菌

 細胞診 アルブミン コレステロール 糖 WBC+分画も 

   

血清LDH TP

 

Light基準 下記のどれかを満たしたら滲出性

 胸水のTP/ 血清のTP>0.5

    胸水のLDH/血清LDH>0.6

    胸水LDH>血清LDH 正常上限の2/3 

       

胸水のドレナージ適応は ➡膿胸

  pH<7.2 →胸水の中で細菌が増え、酸素を食い尽くしている

        グラム染色(GS)で陽性

  胸水の培養陽性 

    

Light criteria は滲出性胸水に判断しやすい

  本当は漏出性なのに、滲出性に入ってしまう人がいる

この人心不全なのに計算したら滲出性になったから、ガンの可能性が。。。など、あらぬ方向に行かないように以下の計算もあるというのを知っておく(式は、覚えなくていい。毎回検索すればOK)

 

血清のアルブミン-胸水アルブミン≦1.2 特異度92%

胸水コレステロール>45 かつ 胸水LDH>200 特異度98% (Pocket medicine 6th P2-11)

 

心不全の両側胸水の穿刺適応

①→利尿に反応すれば必ずしも穿刺はいらない

②→片側胸水が目立つ時には初回は穿刺してもいいかも。ガンを見逃さないよう

③→心不全の胸水は利尿を併用している時は検査上、滲出性の検査結果になる可能性あり

 

 



 

 

胆のう炎 vs 胆管炎

 

      とってもシンプルな胆のう炎

        T-bil・肝酵素は、それほど上がらないことが多い

        murphy陽性

        エコーで胆のう壁肥厚、echo murphy陽性

 

      とってもシンプルな胆管炎

        総胆管に胆石が落ちて詰まる。

        →その胆管の上流が詰まるのでT-bil↑↑ 肝酵素↑↑、 

         肝内胆管拡張 総胆管拡張

 

      ➡しかし両者はoverlapしていることも多い

 

 

  治療

 

   胆のう炎は、いずれ手術適応となることが多い。

 

   胆管炎は結石による胆汁鬱滞を解除しないといけないからERCP。

   胆汁がつまって、よどんだ状態だと

      →急性化膿性閉塞性胆管炎 (AOSC)

      →胆管から血流に乗りやすい →敗血症

 

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【output】
    とってもシンプルな胆のう炎
       T-bill・肝酵素はそれほど上がらないことが多い

       Murphy陽性
       エコーで胆のう壁肥厚、echo murphy陽性


    とってもシンプルな胆管炎
       総胆管に胆石が落ちて詰まる
      ➡その胆管の上流が詰まるのでT-bill著増 肝酵素著増 

       肝内胆管拡張 総胆管拡張 
  

    治療
      胆のう炎は手術になる可能性が高い
 
      胆管炎(結石性)は、胆汁鬱滞を解除しないといけないからERCP
      胆汁が詰まって急性化膿性閉塞性胆管炎

       ➡胆管から血流にのりやすいから敗血症・ショックになる

  

 

 

起立性低血圧

    診断:
   臥位→立位 2~5分でバイタル測定 
      ΔsBP≧20mmHg
      ΔDBP≧10mmHg


   脳血流低下の症状が出る。 目の前が暗くなる。失神など。
   

   原因:
    ①自律神経がダメになる系:

           パーキンソン病、 Shy-Drager、 糖尿病、 レビー小体型認知症 加齢

 

       ②脱水、失血 
        (消化管出血の急性期はHbは下がらない。でも起立性低血圧にはなる)
        →Hbも低下しておらず、起立性低血圧にもならない消化管出血

             (少量のコーヒー残渣様嘔吐など)なら、明日消化器内科受診でもいいかも。


       Hbが低下していなくても、起立性低血圧が陽性なら、

               それなりに出血量が多いと判断した方がいいかも)


       ③薬剤
          α1-blocker  利尿薬 など

 

          パーキンソン病などの起立性低血圧の対症療法:
          ✓ゆっくり臥位から座位、しばらくしたら立位
          ✓10-20°ベッドアップで寝る
          ✓水分、塩分多めに(ただし、CHF注意)
          ✓弾性ストッキング(皮膚break down注意)
          ✓ミネラルコルチコイド製剤(フロリネフなど。CHF注意)
                        (アルドステロン系、水、Naを保持して血圧をあげる)

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起立性低血圧 out put

 

診断:

臥位→立位 2~5分でバイタル測定 

         ΔsBP≧20mmHg

      ΔDBP≧10mmHg

   脳血流低下の症状が出る。 目の前が暗くなる。失神など。

 

 原因:

 ①自律神経がダメになる系

    パーキンソン病、 Shy-Drager、 糖尿病、 レビー小体型認知症 加齢

 

    ②脱水、失血 

         消化管出血の急性期はHbは下がらない。でも起立性低血圧にはなる

   Hbが低下していなくても、起立性低血圧が陽性なら、それなりに出血量が多

           いと判断した方がいいかも

 

     ③薬剤

        α1-blocker  利尿薬 など

 

    パーキンソン病などの起立性低血圧の対症療法:

      ✓ゆっくり臥位から座位、しばらくしたら立位

      ✓10-20°ベッドアップで寝る

      ✓水分、塩分多めに(ただし、CHF注意)

      ✓弾性ストッキング(皮膚break down注意)

      ✓ミネラルコルチコイド製剤  (CHF注意)

                 (フロリネフなど。アルドステロン系、水、Naを保持して血圧をあげる)

良性疾患も予後の概念を持った方が患者さんの全体像がわかる

            Ifxn

 

         咳反射なし→protect airway ができない→繰り返す肺炎

 

      「悪性腫瘍malignancy」ではないが、上記の疾患も「予後の概念」は重要。

 

 

 

誤嚥性肺炎の最初の方の原因菌は

      E.coli

     Klebsiella      抗菌薬を使用するに従い → SPACEなどになっていく

     Streptcoccus 

***************************************

GNR

  ■E.K.P

       E.coli

       Klebsiella   enterobacteriacea 普通の腸内細菌属 fermentor=ブドウ糖発酵菌

       Proteus

 

  ■SPACE (普段は強くないが、EKPが抗菌薬でたたかれた時に出てくる

       多剤耐性化しやすい菌)  non fermenter =ブドウ糖非発酵菌

     Serratia

        Pseudomonas

        Acinetobacter

  Citrobacter

        Enterobacter

 

 ■残った菌がだんだん耐性化してくる。

 ・ESBL:プラスミドを介して伝播する

 ・AmpC:遺伝子の中に組み込まれている。

 

       はじめはvitroでS 例えばCTRX使っているうちに →Rに変わる

       →CFPMなど第4世代で治療

 

 ・MDRP(multiple drug resistant pseudomonas aeruginosa)などが残る

 

     ESBL、AmpC、MDRPこれらに対する抗菌薬を考える

       →菌を治療することにはなる。

          これらを治療することが本当に患者さんのためになるか

       多剤耐性菌を生み出さないかということを毎回考える必要がある。

 

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【Output】

例:

パーキンソン病で繰り返す誤嚥性肺炎

CPA蘇生後・気管切開・遷延性意識障害で繰り返す肺炎

 

 

Ex. 誤嚥性肺炎

最初の原因菌(一般的な腸内細菌属EKP: E.coli Klebsiella  Proteus)

→耐性化しやすい菌(SPACE:Serratia  Pseudomonas  Acinetobacter  Enterobacter)

 耐性化:ESBL、AmpC 、MDRPなど 

 

抗菌薬を投与することは菌を治療することになるが、それが本当に患者さんの為になるのか、多剤耐性菌を生み出すことにならないか、ということを毎回考える必要がある。