● 片頭痛の症状のゲシュタルトは? (文献1、2、3)
POUNDで覚える
P: pulsatile 脈打つような頭痛
O: one day duration 未治療だと約1日(4~72時間)続く頭痛
U: Unilateral location片側性の頭痛
N: Nausea or vomiting 悪心・嘔吐
D: Disabling intensity 日常生活に支障をきたすほど痛い
+ 前兆(aura:キラキラしたもの(閃輝暗点)が見える)
● 片頭痛の発作時治療は?(文献1、2、3)
大きく5種類と覚える
1、 アセトアミノフェン
2、NSAIDs
3、トリプタン 禁忌があることを知っておく!! (注1)
4、エルゴタミン 禁忌があることを知っておく!!(注2)
5、制吐剤トリプタンの禁忌は? (文献1,2)
血管疾患(虚血性血管疾患、攣縮性の血管疾患とも。確定、疑い含む)
コントロール不良の高血圧
片麻痺性片頭痛(発作時に麻痺が出現する片頭痛)
脳底型片頭痛(脳幹症状(※別稿参照)のAura(前兆)が出現する片頭痛)
注1: 細かいことは覚えなくていいです.投与する前には必ず調べてください!!
軽度~中等度の片頭痛発作:アセトアミノフェン、NSAIDs±制吐剤
重度の片頭痛発作:トリプタンor エルゴタミン
日本では5種類のトリプタン製剤が使用可能:
(1)スマトリプタン(商品名:イミグランなど)ソマトリプタンのみ点鼻剤と注射剤もあり
(2)ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミック®など)
(3)エレトリプタン(商品名:レルパックス®)
(4)リザトリプタン(商品名:マクサルト®)
(5)ナラトリプタン(商品名:アマージ®)
注2:エルゴタミンも、冠動脈疾患のある(疑われる)症例では禁忌 (文献1)
文献
1 In the Clinic, Migraine. Ann Intern Med. 2017;166(7): ITC49-ITC64.
2 日本頭痛学会慢性頭痛の診療ガイドライン2013
3 In the Clinic, Migraineの日本語版が現在監修過程です。 2018末-2019前半にUpload予定!!
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前回「頭痛のRed flag sign」を書きました。
救急外来や一般外来での「頭痛」の主訴は、こちらのストレスが上がります。
不必要な頭部画像乱用を避けつつ、重篤な見逃しを最小限にするには
1.危険なものをrule out する(=Red Flagの活用)と、
2.「migraine」(または「tension」または「cluster」)であるとrule inする
の二本柱でのマネジメントが必要と思っています。
(めまいと似ていますよね)
そういう意味で今回の「migraineのゲシュタルト」を型として使ってください。
米国は、片頭痛の頻度が日本に比べて圧倒的に多かった気がします。
シアトルの病院で、
「もともと片頭痛持ちの人が」
「また片頭痛の発作と思われる頭痛で救急外来or 内科外来(GIM clinic)を受診した時に」
上記のPOUNDを確認しつつ
「Red flagがないことを確認し(かつdoccumentationをして)」
「神経所見をきちんととり(かつdocuumentationをして)」
「トリプタン製剤の禁忌がないことを確認し」
トリプタン製剤を投与していました。GIM clinicにtemplateがありました。
(日本では)片頭痛発作は遭遇頻度が比較的少ないからこそ、抜けがないように上記を「型」として対応してゆければと思います。
しつこいですが、このブログは「頭の整理をするための、極めて簡略化したエッセンス」です。患者さんのマネジメントには、上記文献1,2,3などを必ず参照してください。In the Clinic_Migraine_ 日本語版にも、日本の投与量を追記してあり非常に実用的です(今日、原稿をチェックしていました)。公開を、乞うご期待。