Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

低ナトリウム血症

Hyovolemia?Euvolemia?hypervolemia? を厳密に評価するのは困難

多分、hyperか、eu だろうなあ。もしくは、eu、かhypoだろうなあ

くらいに分ける

 

① hypovolemic hypo Naは細胞外液投与で改善する

なぜなら、補液して、適切なADH刺激をとってあげればよい。

Ex. この1週間飲まず、食わず。Na120。

この人に生食を投与したらNaが改善してきた➡hypovolemicの要素だったんだな。

 

注意:Na120 →125→125→125 となったら、120→125まではhypovolemic hypoNaの要素、それ以降は別の要素がある。

 

②FENa   尿浸透圧データオーダー

 

infusion Na(=投与している点滴のNa濃度)<尿Na+K(尿中のNa濃度+K濃度)
       ➡低Na悪化する

 点滴(生食)Na154   <  尿Na140+K50 

→尿の浸透圧の方が高い→低ナトリウムは悪化する

 

④3%NaCLを使う際の投与速度

 →Med Calc なりHOKUTOなり使う→計算結果より少なめに投与

 

⑤Naの補正速度

0.5mEq/L/hr  以下かつ 12mEq/L/24 hr  → 最近はMKSAP 6-8mEq/L/24hr以下



昔は、橋中心性脱髄症候群CPM(central pontine myelinolysis) という名称だった∵橋中心が主に侵されるから。

でも、橋以外も脱髄するよね、ということがわかったので

ODS(osmotic demyelination syndrome:浸透圧性脱髄症候群)と名称が変更された

 

⑥補正速度が速すぎたらどうする?

  →Relowering

  1)5%Glu 100ml/h など  

→それでも速かったら

  2)ピトレシン drip    デスモプレッシン点鼻

 

⑦Na checkの間隔は?  2時間程度 (Na120 前半くらいの場合)

 

 

 

【アウトプット】

 

✓低ナトリウム血症をみたら、まず偽性低ナトリウム血症を除外する。


アルゴリズムをそらで書けるようになるのが近道!!!


   真の低ナトリウム血症だとしたら、体液量は少ないか、多いかを判断。


   体液量少ない低ナトリウム血症なら、

   Na、水が腎外から出ている状態(嘔吐、下痢、熱傷など)なのか、

   Na、水が腎から出ている状態なのか(Lasix使用、AKI回復期など)


   体液量が多い低ナトリウム血症

    →体全体がパンパンだけど血管内hypoで腎臓に有効な血流がなく、

     ADH刺激がでて、水を貯留してしまう状態

     (心不全ネフローゼ症候群、LCなど)


   とはいえ、体液量が多い、少ないの判断は難しいよね。

     Hypo~eu, eu~hyperくらいの分類で。


   euvolemiaな低ナトリウム血症

    (甲状腺機能低下症、副腎不全、SIADH、多飲など)


   体液量の少ない低ナトリウム血症

   (血管内脱水に対しての、妥当なADL刺激が出ている状態)

     は細胞外液投与で改善する(=補液でADH分泌が少なくなる)

 

✓今後、低ナトリウム血症が改善するか、悪化するかを予想
   Infusion Na<尿Na+K →低ナトリウム血症は悪化する


✓Naの補正速度 
    0.5mEq/L/hr 以下かつ6-8mEq/L/24hr以下
 早すぎは、ODS(osmotic demyelination sydrome:浸透圧性脱髄症候群)のリスク


✓補正速度早すぎる時の対応は
   ①5%Gで逆補正
   ②ピトレシンdrip デスモプレシンン点鼻


✓Naチェック間隔は? 120前半以下なら2時間おき

 

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