静脈うっ帯性下腿潰瘍 (venous leg ulcers VLU)
静脈うっ帯性皮膚炎 (venous stasis dermatitis)
●静脈うっ帯性下腿潰瘍・静脈うっ帯性皮膚炎という病態の認識を!!(注1、2)
下肢の慢性静脈不全(静脈弁の機能不全、静脈の逆流)
⇒ 下腿の浮腫・痛み・色素沈着、下腿潰瘍、瓶を上下逆さにしたような変形●日本では認知度が低いため、「蜂窩織炎」として治療されてしまっていることも多い。
リスク因子:加齢、肥満、DVT/PEの既往など●静脈うっ帯性下腿潰瘍の診断:
上記の症状・身体所見
(VLUはほとんどの症例で病歴と臨床所見に基づいて診断してよい.(文献1))●除外すべきもの(文献1):
末梢動脈疾患(∴ABI施行)
糖尿病性ニューロパチー(∴糖尿病評価)
長期間の圧迫(∴病歴聴取)
蜂窩織炎(∴病歴・身体所見)●治療(文献1):
下肢挙上(3~4回/日 ×30分間、下肢を心臓より高く上げる⇒ 浮腫軽減、循環改善)
圧迫療法:弾性包帯・圧迫療法により、浮腫軽減するのみでなく、潰瘍の治癒率が改善!!(注2)
注1:瓶を上下逆さにした形の変形(「逆シャンパンボトル」などと形容されます)、色素沈着、浮腫、下腿潰瘍
Copyrightから写真をここに貼り付けられないですが、In the Clinicのなかに、典型例の写真が多数載っています。ぜひ見てみてください。百聞は一見にしかず。
Webで venous leg ulcers, venous stasis dermatitisで検索すると 写真多数見つけることができます。
注2:私自身、Venous leg ulcersという概念を、米国老年科ローテーションまで知りませんでした。
米国老年科外来 (Geriatric clinic) で、圧迫療法(弾性包帯を巻いて帰る)を行って1週間後、2週間後とフォローすると、浮腫も疼痛も潰瘍も劇的に改善するのを何人も目の当たりにしました。
日本でも「両下腿難治性蜂窩織炎」として対応されていた入院症例の相談をうけ、弾性包帯で圧迫を開始すると、発赤・疼痛・浮腫・炎症マーカー・熱型いずれも軽快した症例もみました。VLUであると診断できれば治療が行えるという意味でぜひ認識できるようになってください(もちろん、上記鑑別診断を必ず除外してください)。今後日本も高齢化・肥満の増加でVLUが増加すると予測されます。
文献
1: In the Clinic, Venous Leg Ulcers. Ann Intern Med. 2016;165(3): ITC17-ITC32.
2:In the Clinic
Venous Leg Ulcers (Japanese Version) | Annals of Internal Medicine | American College of Physicians
Annals of Internal MedicineのWPにJapanese version としてUploadされています!!