- Causative pathogens: GNR (E.coli (80%), Klebsiella, Proteus), Enterococcus, Staph saprophyticus
- Rule in for Pyelonephritis: CVA tenderness, suprapubic tenderness, U-WBC, U-GS
- R/o obstruction
- DDx: urethritis, prostatitis
- May take 48-72 hrs for fever resolution
- r/o resisant pathogens, STIs, obstruction, perinephric abscess, renal abscess, emphysematous pyelonephritis if not improving.
- If Staph aureus from UCx and BCx, consider primary bacteremia.
腎盂腎炎の型です。
覚えるのは上記だけ。
理解するために下記。
65歳男性、もともと糖尿病高血圧。今回は熱発・悪寒で総合内科外来受診し、尿中WBC>100/HPF, 尿のグラム染色でグラム陰性桿菌(++)であり、腎盂腎炎の診断で入院。 セフォチアム(第二世代セフェム)点滴投与。
入院2日目だが38度台の熱発続くため、内科当直のあなたにコールあり。
ナース「38度以上でDR.コールなんですけど。クーリングで経過観察でいいですか?」
- Causative pathogens: GNR (E.coli (80%), Klebsiella, Proteus), Enterococcus, Staph saprophyticus
起因菌は、上記くらいは覚える。
自然に、その施設のE.coliのantibiogramを見なきゃと思えるようになる。 - Rule in for Pyelonephritis: CVA tenderness, suprapubic tenderness, U-WBC, U-GS
「腎盂腎炎です」と診断(comit)するために、CVA叩打痛、恥骨上圧痛(←膀胱炎)、尿中WBC上昇、尿グラム染色で菌がいることの確認。 - R/o obstruction
閉塞機転の除外。腎エコーでもCTでも妥当。
関連のある陰性所見(pertinent negatives/positives)として、
今までに腎盂腎炎になったことは? 尿路結石と言われたことは?の把握は必須。 - DDx: urethritis, prostatitis
尿中WBC上昇していて、細菌尿なので「腎盂腎炎です」ではなくて、尿道炎、前立腺炎じゃないよね、も忘れずに。 - May take 48-72 hrs to fever resolution
一般論① 腎盂腎炎は、抗菌薬が適切でも解熱に48-72時間かかることもある。
一般論② だからといって、熱が出てもただ放置ではなく、Septicになっていないかの評価必須。
前回の誤嚥性肺炎の時と同じ。
熱型(Tmax),RR, 意識レベル、HR、BP、悪寒戦慄の有無を把握し「悪化していないことを把握しつつのclose observation」
例:もともとSBP160/であった人が降圧薬ホールド中にもかかわらずSBP100/ に低下してきていればsepticになっていると有意と取らなければならない。 - r/o resisant pathogens, STIs, obstruction, perinephric abscess, renal abscess, emphysematous pyelonephritis if not improving.
改善してこないときの思考過程:
- 抗生剤があたっていないのか→ グラム染色の結果、感受性結果など確認 例;Enterococcusならセフェムは効かない、E.coliがESBLだった、など。
- 抗生剤の量が適切でないのか→ 腎機能での用量調製を確認 例;入院時脱水でCre↑あり、その腎機能で調整した抗生剤量で開始→補液で腎機能改善したにもかかわらず調整しなおしていない、など
- 腎盂腎炎の合併症をきたしていないか
→ 閉塞機転(水腎症が後から明瞭化する症例もあり)、腎膿瘍(renal abscess)、腎周囲膿瘍(perinephric abscess)
- もし重症糖尿病患者なら?→ 気腫性腎盂腎炎の可能性あり。 →鑑別に挙がれば自然に最近の血糖コントロール・HbA1cの情報を収集する必要を感じるはず。
→上記を頭に入れれば「なんとなく良くなってないからCTとります」ではなくて、「抗菌薬開始48時間後ですが、悪寒戦慄続きます。腎膿瘍、閉塞、気腫性腎盂腎炎除外目的でCTをとります」という思考過程ができるはず。 - そもそも腎盂腎炎でいいのか?
1)前立腺炎(STI)からの膿尿ではないか? 下記
2)菌血症からの二次的な細菌尿なのではないか?
3)一度解熱して再度熱発なら、薬剤熱?
入院後発症の痛風発作? ∴全身診察必要。 - If Staph aureus from UCx and BCx, consider primary bacteremia.
別項:尿から 黄色ブドウ球菌陽性の時の型 - Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ
参照
〇男性尿路感染(尿中WBC ↑↑)の鑑別:
起因菌のめぼし
>35歳;普通の尿路感染の起因菌(=上記のE.coli, Kleb, Proteus,,)
<35歳:STIの起因菌(すなわちGC/Chlamydia GC=淋菌、Chlamydia=クラミジア) STI = sexually transmitted infection
症例続き:
左CVA叩打痛(+)であり、再度エコー施行したところ、左腎盂の拡張が入院時よりも著明に。左膀胱尿管移行部に結石とおもわれる所見あり。 閉塞機転と考えて、Double Jカテーテルを泌尿器科に依頼して挿入 → 挿入時に混濁した尿流出、尿のグラム染色でもグラム陰性桿菌(++)。
熱発もすみやかに改善した。
(平凡な症例からも、起こりうる可能性のあることを広げて教える、という意味で、あえて平凡な症例にしました。 )
参考資料:
Hospitalist 2015;vol.3: no.1 pp.258-266 北野の5分間ティーチング連載 腎盂腎炎バージョンで、引用文献はこれに逐一載っていますので、記載部位を見つけたい方は参照してください。