Dr.Yukaの5分間ティーチングブログ

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 救命救急センター 北野夕佳の5分間ティーチング連載ブログです。日々の臨床で必要な知識を「型」として蓄積するブログです。

病棟患者さんの発熱 #3

  この人の感染しそうな場所(#2)
   +
  7Ds 
  
   ✓Decubitus(褥瘡)


   ✓CPPD(偽痛風)/Gout(痛風尿酸が結晶化する/ bursitis 滑液包炎
    入院期間中の痛風発作は良く遭遇する 


     ・例1:CHF →利尿→酸素需要減ったころに痛風で発熱


     ・例2:ショック→補液ボーラス→ショック離脱→利尿→痛風で発熱
       ∵入院中は輸液したり、利尿したりfluid shift がすごくおこる

 

       =血中の尿酸値が変化するイベントが多い

   

   ✓C.difficile  
    抗菌薬が投与されているか?

   (抗菌薬が「今」投与されていなくても、「最近の使用」もリスクなことを

    知っておく)下痢してない? お腹痛くない?


   ✓DVT


   ✓Drug fever
    「比較3原則」 - 比較的徐脈 比較的元気 比較的炎症所見上がらない


   ✓Deep abscess 
    腸腰筋膿瘍 腹壁膿瘍(インスリン皮下注患者) 椎体炎 椎間板炎 

    硬膜外膿瘍


   ✓Debris  胆のう炎


   ✓Device


 NMS 悪性症候群 (neuroleptic malignant syndrome)


 「ゲシュタルト
 抗パーキンソン薬の中断 抗パ薬の内服量が多い人ほど中断でのNMSリスク高い
   Ex. 何かで絶食になった。抗バーキンソン薬を点滴で投与しなかった

     →悪性症候群発症
   Ex. ドパミンアンタゴニスト=Schizo の薬 
   Ex. ハロペリドール リスパダールの開始or 増量


 離脱  

  死ぬ離脱=アルコール、ベンゾジアゼピン


  ✓アルコール離脱 onset 48-72hr 
    Ex. アルコール多飲者が交通外傷できて入院3日目でプルプルして、発熱。


  ✓ベンゾジアゼピン精神疾患などで高容量飲んでる場合)
    眠剤で眠前1錠くらいなら急に中断しても大丈夫

 

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病棟患者さんの発熱 #2

Cx  B

      U

      S

Culture BUSをやったとして、その後

介入するかどうかは、やばいかどうか。=sepsis?  

   ① qSOFA 

      BP≦100

      レベル↓ GS≦14

      RR≧22

 

トレンドを見る

   ✓例えば104/60なら大丈夫?

     →HTN既往 普段はアムロジピン内服して、140台。

      入院してアムロジピン中止したのに104/60

     ➡ qSOFA1点ととった方がいいだろうな。

              

      温度板を確認して、血圧が         

             

      となっていないか。



   ✓意識レベル qSOFAではGS≦14となっているが、

    もともとがE4V4M6 だとするなら、いつもより悪くなっているかをみる。

 

   ✓患者のところに行って、はーっはーっとなっていたら(呼吸促迫)、

    sepsisになっているかも。 

       

 

   ②shaking  shivering していたら、sepsisかも

 

     ➡ sepsis かも。と思ったら、抗菌薬投与。

     ➡forcusがどこっぽいかをcomitする。コインを置く=comitする。

 

     Ex. 尿中白血球が15/視野で、否定できない。尿路感染に一票。

      入院4日目だから抗菌薬これにしよう。

 

     Ex, 呼吸数増えてる、SpO2がトレンドとして下がってる。

        レントゲンの浸潤影濃くなってる気がする。→肺炎にcomitする。



  1. それ以外のこの人の感染しそうなところは?

  1) UTIで入院した人。入院時、水腎症はなかった。夜熱出るんですよね。

    シバリングもあるんですよね。

      →水腎症が顕在化していないか。腎エコーで確認

 

  2)胆管炎で入院した人。入院時のCTで閉塞なしと読まれていたが、

    shakingしているんですよね。

      →肝内胆管が拡張していないか。総胆管が拡張していないか。

       肝機能が上がってきていないか。エコー、採血をする。

 

  3)インフルエンザで入院した人

      → MSSA・MRSA肺炎になりやすい。

       細菌性肺炎を合併していないかという目で見る。

 

  4)要介護1の人がGIB 消化管出血で昨日クリッピングした。

      → もともとの胃潰瘍がやぶれたんじゃないよな。という目でみる

      →絶対に!!腹部触診する。

      胃カメラ誤嚥したんじゃないか?

 

  5)施設から肺炎で入院。前にPseudomonoas(緑膿菌)がでていた。

      →PIPC/TAZではじめた。一回熱さがったけど、また熱でてきた。

      →CD腸炎じゃないよね?下痢してないか。

 

    =臨床推論の重要性!!!

 

youtu.be発熱 

病棟患者さんの発熱 #1

夜病棟から、入院患者さんが熱が出てますcallあり。

 

 Cx  B:Blood Cx  →あらゆるルートから1セット+末梢静脈穿刺からの1セット

    U:Urine Cx

       S:Sputum Cx

 

Blood Cx:

各一セットずつ

    ✓ Aライン

    ✓ Picc

    ✓末梢穿刺

      DTP(differential time to positivity) 2時間以上で有意と取る。

 

多くのカテーテルが入っていて、カテーテル関連感染を疑って、全部入れ替えられればいいが、入れ替えが難しい場合(広範囲熱傷、多発外傷)などの状況の時に、知っておくと極めて有用。

 

同じ血液量同じタイミングで採取。そのルートの感染症だったら、

   そのルートからの血培は早く陽性になる。

   例えば、Aラインは5時間後陽性、Piccと末梢穿刺からは10時間後陽性だったら

➡Aラインからの菌量が多いんだなー➡Aラインから入れ替えるか。。。

   という風に使える

 

真の菌血症か?➡ 末梢穿刺の方がきれい

 

ルートからの菌血症?➡ そのカテーテルが感染しているかに関してはそのカテーテルからの血液培養を見ることは有意義。

 

Urine Cx:

尿培は結果が出るのに数日かかる。

今、尿に感染してますか?は尿沈渣 

    ✓尿中白血球が上昇しているか?

 ✓CVA knock pain

    ✓恥骨上の圧痛

    ✓尿道カテーテルが入ってるか?

  CAVTI (catheter-associatd urinary tract infections)hit rate➡3-10%/日!!  ※1

       (尿道カテーテルをいれたら尿路感染症の発生頻度。10dayいれたら少なくとも30%)

     

       尿カテは必要悪。➡いらなくなったら抜く。

                                    ➡「de-ICU」という概念を知っておく  

                                    ➡ICU状態じゃなくすこと。

                       

               CV 挿管チューブ 尿カテ 鎮静    ➡いらなくなったら抜く。やめる。

 

Sputum Cx:

PNA??肺炎じゃないよね?

痰が増えてない?

SpO2下がってない? 酸素需要ふえてないかな?

呼吸数上がってないかな?

        ➡疑わしければレントゲンとる。



※1 UptoDate: Catheter-associated urinary tract infection in adultsより

referenced 2023 December.

 

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“Correct coagulopathy“  出血傾向の補正

       ✓脳出血

       ✓喀血

       ✓GIB   

          あらゆる出血疾患で使う

 

      ✓血算:Plt

 

      ✓Coag:INR  APTT  フィブリノゲン

 

      ✓常用薬チェック 点滴/内服 オーダー確認

 

  ➡抗血小板薬は血小板数は下がらない。Plt23万だから大丈夫ですねー・・・

          ではない。

     血小板数20万だけどDAPT飲んでますね。というのを把握する。

 

  ・抗血小板薬:アスピリン プラビックス(クロピドグレル) エフィエント 

                           シロスタゾール など

 

      ・抗凝固薬: p.o.    ワーファリン ➡INRに反映する

                     DOAC ➡血液検査に反映しない

    

                             div   ヘパリン点滴

                                   sq      低分子量ヘパリン:クレキサン、ヘパリン皮下注

 

                   出血の重篤さ               vs           抗血栓の重要さ

                            

 

         これならDAPTはやめないだろう

 

                VS       

 

    心房細動の2次予防でDOACは内服するが、 脳梗塞起こすのは年数パーセント。

             ➡吐血の重篤さを考えると、このDOACは今は、中止しよう

 

 

 

      リバース

          ✓ワーファリンのリバースは

               ➡  ケイセントラ 

          4F-PCC

       (4因子含有プロトロンビン複合体濃縮製剤 prothrombin complex concentrate)

           → 4凝固因子→2.9.7.10 (語呂合わせ:肉と納豆)

             以前はFFPだった。ケイセントラが万一なければFFP

 

     + Vit K 

 

   ✓DOACのリバースは

   ① プラザキサⓇ(タビガトラン)← プリズバインドⓇ (イダルシズマブ)     

    

   ② Xa阻害薬 エドキサバン     ← オンデキサⓇ 

           アピキサバン

           リバロキサバン 

 

ただしオンデキサ➡「死亡、重篤な塞栓症、血栓症」の合併症が10%くらいある。

          消化管出血は止まりましたが脳梗塞になりました。。。は困る

 

オンデキサの添付文書

         ➡「重篤な出血で、出血に対する標準的な治療をして、それでも止血が

               コントロールできない時に使うように」という意図の但し書きあり。 

 

    Ex. 胃出血で、内視鏡してクリッピングして、それでもコントロールできない・

      できなさそうな時にオンデキサを使用するニュアンス。

 

   ✓ヘパリンのリバースは 

    プロタミン➡ アレルギーもあり。ヘパリンは半減期短いよな。

   

  プロタミンでリバースする必要があるかは出血の重篤さと

  急いでリバースするかにより決める.

 

 

   どれも「一般論」をまずは習得し、

   その上で症例ごとに思考を構築してゆくことになります。

 

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胸部外傷

  出血:外傷、GIB 等  GIB=Gastrointestinal bleeding 消化管出血

 

  急性期:血圧は下がらないことが多い。代償機構が働くのでHR↑

 

   Shock index=HR/SBP SBP=systolic blood pressure収縮期血圧

 

   健常人で覚える:

    HR70/SBP 100 =0.7  ➡正常 0.5-0.7 くらい あがって1を超えたら異常

 

  open pneumothorax 空気が呼吸のたびにボコボコ出ている状態の時

    

    3辺テーピング 

 

       ➡空気は出ていける。入らない状態にするために 3辺を止める

 

  切断肢 切断趾 切断指

    もしかしてつなげるかもしれないから、探して持ってくる

    乾かさない、ぶよぶよにしない、腐らせない

      ➡生食などで湿らせたガーゼで傷を覆う

       ビニール袋に入れて口をしっかり縛る

            それを氷の入ったビニール袋に入れる

  

 

         

  熱傷

   小さい面積➡冷却 痛みも楽になる 熱傷の進展を止めらる

   大きい面積➡低体温の方が問題になる。 

         銀色のブランケット様のもの等を使って保温

 

  必要な情報

   ✓いつ?

   ✓どうやって? 虐待ではないか。 受傷温度、深度を推測できる。

 

     熱湯がかかった。→ 100℃

 

     あんかけ(片栗粉)→ 100℃以上 粘着時間が長い。

              →より重傷になる可能性

 

     あげ油→170-180℃ 

 

これが長靴に入った→粘着時間も長い。➡より深いやけどになる 

 

  開放骨折

     Golde hour ➡ 6-8時間

      骨髄炎になる。12時間以上 OR 1.5

                             24時間以上 OR もっと上がる

 

          全脊柱固定 SMR spinal motion restriction

           固定する時:体からつける。首をつける。

        外す時:  首からはずす。体をはずす。

 

          頭だけ固定されている状態を避ける (snakingを避ける)

 



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